夫婦関係を修復しようと思ったとき、多くの人は「どのように話し合いを進めようか?」「心を打つような手紙を書くことができないかな?」といった戦術的なことに目がいきがちです。

しかし、手紙を書いたり、話し合いをしたりする以前に、どういうアプローチをとるのかが肝心です。アプローチというのは、戦略的なことを指しますが、これが異なれば手紙の書き方も、話し合いの仕方も大きく変わります。

そこで今回は、夫婦関係を修復していくために重要な「アプローチ方法」についてお伝えします。具体的な手紙を書く、話し合いをするといったアクションを起こす前に、この記事を読んで検討してください。

ご相談者様ご相談者様

どんな手紙を書こうか?など、今まで目先のことばかりにとらわれていたと思います。アプローチ方法を考えない良い結果には結びつかないですよね。詳しく知りたいです

夫婦関係の修復アプローチとは?

夫婦関係の修復アプローチとは、パートナー間の問題や関係の悪さを解消していくための戦略的な手段のことを指します。例えば、コミュニケーションの方法や、手紙の書き方といった具体的な個々の手段ではなく、大まかにこのように進めていきますよ、というものです。

イメージとしては、登山ルートが近いです。山の頂上に登るには、いくつもの登り方があります。例えば、山の東側から頂上を目指すという場合もあれば、西から目指すということもあります。東からのぼれば、最短距離で着くけれど、非常に険しい登山道を進まなければいけません。一方、西側のルートをたどれば、歩行距離は長いものの、緩やかな坂道になっているなどのことです。

このように修復アプローチというのは、登山ルートのように、どのような道をたどるのかという大まかな戦略的なことを指します。

登山に例えた図解

夫婦関係修復に役立つ2つのアプローチ

夫婦関係を修復していく際、大きく分けて2つのアプローチがあります。1つは、短期的な視点で目の前のことに焦点を合わせて取り組むというものです。もう1つは、長期的な視点で、将来の夫婦関係にプラスになるような働きかけを行うことです。
アプローチに関する図解

短期的アプローチ

例えば、「夫が夜遅くなっても連絡一つしてくれない」などの問題があれば、そのことを取り上げて、話し合うというのは短期的な視点によるアプローチです。とりあえず、目の前で起こっている問題行動を解消していく事を目指しています。

この短期的な視点に基づくアプローチは、これはこれで重要です。しかし、過剰に短期的な視点ばかりにとらわれると、「何か一発逆転できる裏技はないかな?」のような発想になってしまいます。こうなると非常に危険です。そういった目先のことにとらわれて行動すれば、離婚危機を高めることになります。

例えば、先ほど挙げた例で「義理両親に夫の悪事を言いつけて、叱ってもらう」「夫の浮気の証拠を突きつけて、その場で反省させる」などのことです。こういったことは、一瞬問題解決に結びついたように見えることもありますが、本質的な解決ではないので、離婚リスクを高めるか、その後、さらにまた別の問題を生むだけになってしまいます。

ですから、短期的な視点で取り組む事は大切ですが、それが過剰になってしまうと離婚を招きます。

メリット

  • 目の前の問題に対処できる
  • 緊急的な問題に対応できる

デメリット

  • 目の前の問題を解決できても、最終的な目的と結びつかないことがある
  • 目先のことにとらわれて、本末転倒な結果を招くことがある

長期的アプローチ

「玉ねぎの皮をむくように」という慣用表現があります。これは、薄い皮を一枚一枚むいていくことで、少しずつ核心に近づいていくという意味です。夫婦関係を修復するためのアプローチの2つ目は、まさにこの「玉ねぎの皮をむくように」という長期的なアプローチです。

何かのアクションをとり続けることで、徐々に物事が分かっていき、これで終わりかと思ったらまだ次がある。しかし、それを続けることで、少しずつだけど着実に核心に近づいていくのです。

簡単な問題なら、一度話せば、解決出来ることもあります。しかし、浮気、お金の問題、教育方針の問題、離婚問題、別居の解消など、こう言った深刻な問題は、一度の話し合い等で解決することは困難です。

むしろ、玉ねぎの皮をむくように、その時々にできることを積み重ねていくことが大切です。

例えば、現在、夫婦間に複数の問題を抱えているとします。「浮気をしている」「借金がある」「夫婦の会話がぎこちない」「夫が子供のことをむげにする」「別居をしている」などです。長期的なアプローチで対応する場合、これらの問題を一気に解決しようとはせず、むしろ、問題を細かく分解して、一つひとつを丁寧に解決しようと試みます。

大きな問題を一発で解決しようとすると、相手からの抵抗が大きくなり、前に進めなくなってしまうからです。長期的アプローチは、玉ねぎの皮をむくように、毎回「今回は、別居解消のために、これさえ達成できれば良い」という小目標を決めて、一つずつ解決していくのです。

メリット

  • 離婚リスクを抑えることができる
  • 夫婦関係が段階的に良くなっていきやすい

デメリット

  • 忍耐力か求められる
  • 目の前の問題をスルーしてしまうことがある

体験談『アプローチを考えることで、夫婦関係が修復』

ここでは、アプローチについての体験談をご紹介します。夫婦やなおし相談室に御相談いただいた方がブログ読者さんのお役に立てればということで送ってもらったのでご紹介させていただきます。

突然の離婚要求

夫から突然「離婚したい」と言われました。その言葉に混乱してしまい、私は必死で夫との関係を修復しようとしました。連日、深夜まで話し合いを続け、夫の仕事中にもかかわらず、頻繁にメッセージも送りました。しかし、私の焦りからの逆効果となり、夫婦関係は急速に悪化。「もうこのままだと、家に帰ってこないのではないか」と心配しました。
離婚要求をしているイメージ

関係が悪化した原因を自覚

どうすれば良いのか分からず、私は夫婦やりなおし相談室に相談しました。そこで、長期的アプローチと短期的アプローチの重要性について教わりました。短期的アプローチだけに囚われると、夫婦関係が悪化する原因になると指摘され、本当にそうだと実感しています。その後、相談を続け現在の状況では短期的な対策を優先しつつも、長期的な視点も忘れず持つことにしました。

対処方法が変わる

目先の問題に対処しようとする気持ちを抑え、私は長期的なアプローチも意識するようにしました。例えば、何度も短期間にメッセージを送るのは、短期的に効果があるかも知れませんが、中長期的に夫婦関係を悪化させるものなので、そういった方法はやめると決めたのです。このように短期的に正しいと思えることであっても、中長期的に良くないものは、やらないことが大事だと思っています。

的確な対応がとれる

長期的アプローチと短期的アプローチの両方を考慮して離婚問題に取り組むようになってから、私は夫に対してより的確な対応ができるようになりました。目の前の事に対処するのには、これをしたいと思っても、中長期的にダメな行動はやめるようにしてから、夫との話が冷静にできるようになったのです。今は少しずつ夫婦関係が修復していくのを実感しています。まだ、時間が必要かも知れませんが、これも長期的アプローチなんだと思えば、落ち着いて臨めます。

夫婦関係の修復アプローチに関する注意点

ここでは夫婦関係修復アプローチについての注意点をお伝えします。

常に両方の視点が必要

短期的アプローチ、長期的アプローチその両方が大切です。どちらか一方だけを考えてもうまくいかないので注意してください。問題解決を図るときは短期的アプローチでも考えるし、長期的アプローチでも考えます。

両方の視点に関する図解

状況によってどちらを優先するか決める

2つのアプローチ方法で対策を考えたとき、どちらを優先するかというのは、ケースバイケースです。例えば、既にご主人から再三の離婚要求などがある場合、当面は短期的アプローチを優先することが必要です。目の前の差し迫った問題に対処しなければ、先がないからです。しかし、そこまで差し迫った状況でないなら、長期的アプローチを優先することが多いです。また、当面は短期的アプローチを優先しつつ、事態が落ち着いてきたら、長期的アプローチを優先するなどのように切替えることも必要です。

まとめ

このように、短期的なアプローチと長期的なアプローチは、同じ問題と対峙するときに、全く異なる対応をすることになります。そして、多くの場合、長期的なアプローチを軸に夫婦関係の修復を進めた方が、確実に良い結果を得ることが出来ます。

結局のところ、夫婦関係のというのは、短期でどうこうしようとすればするほど、状況は悪化します。つまり、長期的なアプローチで対応することが、結果として最短で夫婦関係を修復することにつながるということです。ぜひ、あなたも短期的な視点にとらわれているのなら、長期的な視点で問題解決にあたることを考えてみてください。このスイッチをするだけで、あなたの夫婦関係にも大きな変化な変化をもらすことになると思います。

よくあるご質問

ここでは『夫婦関係を修復するための2つのアプローチ』について、よくある質問をQ&A形式でお答えしていきます。

修復できるまで長く感じる

【Question】
夫婦関係を修復するのには、信頼やコツコツと行動を続けることが必要だとは分かっています。しかし、どうしてもそれが長く感じてしまうので辛いです。

【Answer】
道のりが長いので、どうしても辛く感じてしまうことがありますよね。ただ、自分だけに限らず誰にとっても、夫婦関係にゴールはないので、考えようによっては「生涯にわたり関係性をつくっていくもの」という見方ができるかもしれません。そうすれば、今していることは一時的なことではなく、これから習慣として続けていくことなのだ…と思えるのではないでしょうか。

ただ「今、続けていることがしんどいのに、それをずっとし続けるのか?」と思ってしまうかも知れません。それは、恐らく努力の仕方、修復の仕方がやや「しんどいやり方」になっている可能性があります。それを自然に習慣として取り組める方法に切り替える事が大切です。このページから登録できる夫婦関係修復ニュースレターで、詳しく書いてあるので参考にしてみてください。

焦る気持ち

【Question】
どうしても焦りが出てしまいます。夫婦関係の修復において焦ることは良くないと思っていますが、どうしても「早く修復しないと」という気持ちが出てきてしまいます。そうすると行動が不自然で夫婦仲が後退していきます。どうすればいいでしょうか。

【Answer】
焦りがあると、自分の行動が不自然で相手との距離ができてしまうことが多いですよね。短期的なアプローチのことだけが頭にあるとどうしても目の前の事にとらわれてしまいます。なので、時々で良いので、長期的アプローチに視点を変えてみてください。長期的アプローチの視点を取り入れ、身についてくると焦りは自然にある程度解消されることが多いです。

関連記事

ここで『夫婦関係を修復するための2つのアプローチ』に関して関連記事をご紹介します。併せて読んで頂くことで、より知識を深めていただけます。

修復の方法

修復の方法についての記事
夫婦関係を修復するための基本的な方法をまとめました。これから修復をはじめたいという人は下記のページを参考にしてください。

参考ページ:夫婦関係を修復する方法。どのようなやり方で進めれば良いか?

どのようにして修復できた?

修復のキッカケについての記事
夫婦関係の修復には、いくつかのキッカケがあります。どのようなものがそうなりやすいのでしょうか?詳細は下記よりどうぞ。

参考ページ:夫婦関係が修復したきっかけは何?