夫婦関係が悪化して別居になったとき、つい夫婦問題のことばかりに意識が向いがちです。しかし、子供がいる場合は、別居したことが子供に悪く影響しないよう細心の注意を払うことが必要です。そこでここでは、別居が子供に与える影響や、どのような対応をした方が良いのかと言うことについてお伝えします。
子供の対応に関する不安

別居に伴う子供への影響

別居になったとき、親として心配なのは「子供にどのような影響があるか?」という点だと思います。そこでここでは、考えられる影響をとりあげ解説します。もちろん、個々の状況によってどのような影響があるかはケースバイケースですが、代表的なものを取り上げるので参考にしてください。
影響についての図解

補足解説

別居や離婚などがあれば、子供にいくらかの影響を与えます。どのような影響があるのかは、年齢や性別、家庭環境などによっても異なります。例えば、不安な反応を示すこともあれば、自分の殻に閉じこもってしまうなどのことも可能性としてあります。
参考:Children’s Responses and Adjustment to Parental Separation and Divorce

出ていった親と会えずに、寂しがる

別居に伴う子供への影響の1つとして「出ていった親と会えずに寂しがる」ということがあります。これは特に小学生までの子供に起こりやすく、急に父親が家にいなくなることで、子供が寂しさを感じてしまいます。

寂しがる様子
この時期の子供は親と日常的な交流を求めることが多く、別居によってその機会が減ることで、急な環境変化に気持ちがついていかず不安や寂しさを感じてましまいす。これまでの夫婦カウンセリングの中でも、比較的多い事象です。

不登校や欠席が多くなる

これまでの夫婦カウンセリングをおこなった経験上、中学生くらいまでの子供においては、別居が始まると不登校になったり、学校を欠席しがちになることがあると実感しています

不登校になる様子
急に父親が家庭から離れることで、生じる精神的なストレスが関係しています。特に中学生は思春期と重なり、感情の変動が激しく、勉強に対する意欲の低下や将来への不安を感じる可能性があります。学校を休みがちになったり、不登校に陥ることも少なくありません。

出ていった親に反発

別居した親に対して反発的になるということもあります。特に高校生くらいの年齢になると、子供は家庭の状況に対してより強い意見を持つようになります。そして、別居になると子供は出ていった親に対して不信感や怒りを抱き、反発心を伝えて来ます。例えば「もう離婚したら良いのではないか」などのように伝えてくることもあります。また、出ていった親が子供にLineを送っても、スルーされるなどのこともよく起こります。

親に気を遣う

別居になったあと、親の気持ちが落ち込み、それを察した子供が気を遣ってしまうということがあります。例えば、母親との同居が続く場合、は母親の悩んでいる様子が見受けられれば、子供も心配して気を遣うようになります。気を遣うという期間が長くなると、子供は日々のストレスが蓄積され、様々な問題の原因となります。

別居に伴う子供への影響を減らす方法

ここでは別居になった際、なるべく子供に与える影響を減らす方法をお伝えします。子供の負担を減らすことは、別居する際に親としはては最大限、配慮したいところです。

小まめなコミュニケーション

小まめなコミュニケーションは、別居に伴う子供への影響を減らす方法として重要です。特に別居が始まったばかりの初期段階では、子供は寂しさや不安を感じることが多くなります。そのため、子供と一緒にいる親が積極的にコミュニケーションをとることが求められます。子供の話を丁寧に聞いたり、感情を理解しようとする姿勢を示すことで、子供の安心感につながります。また、子供自身が不安や悩みを抱えていても直ぐに相談出来るよう、親に打ち明けやすい環境を整えることが重要です。
親子でコミュニケーションをとる姿

面会日をとる

面会日を設けることも重要です。この際、心構えとして重要なのは夫婦問題と親子関係は別のものという意識です。どんなに夫婦間に問題があっても、親子関係の維持は気持ちを切り替えて適切に対応する必要があります。たとえ相手に対して不満や怒りを感じていても、「相手に対して腹が立つから面会もさせない」という態度は、子供にとってプラスになりません。

経済面での協力

経済面での協力も、別居中は非常に重要です。多くの場合、別居により家庭の経済状況は変化します。しかし、子供の生活水準をできる限り維持するようにしてください。急激な環境の変化は大きなストレスになるからです。そのため、できる限り別居前に両親が経済的な責任について話し合い、協力することが必要です。お互いが別居を理由に生活費を渋ることは、子供にとってストレスや不安を与えることにもなります。

周囲に協力を依頼する

別居になってしまう場合、パートナーとのやりとりだけでも、かなり精神的な負担が大きくなります。そのため、子供に対してフォローできる事には限界も生まれてしまいますよね。そのため、周囲に協力を依頼するようにしてください。

例えば「休日は、子供をどこか遊びに連れて行ってもらう」とか「夫婦で話し合いをする時は預かってもらう」などのことです。周囲との連携をとることによって、子供への影響を減らすことができます。

体験談『別居が中学生の子供に与えた影響』

ここでは、夫婦やりなおし相談室スタッフの福島による体験談を紹介させて頂きます。いくらかでも参考になれば幸いです。

息子にかわいそうな思いをさせてしまう

夫との間に問題が生じ、やむを得ず別居することになりました。中学生の子供に別居の事実を伝えたときのことは、今でも鮮明に覚えています。息子は、夫が出ていったことを知り、すごく悲しそうにしていました。特に、パパとは仲が良かったので。母親として、これ以上の息子に負担をかけたくない一心で、どう対応すればいいのか悩みました。

学校を欠席しがちになる

別居後、息子は元気をなくしていたと思います。学校を休む日が増え、あまり笑顔が見られなくなりました。私は心配でたまりませんでした。早めに手を打たなければ…と思い、スクールカウンセラーと話をするようになりました。しかし、息子の心の傷は簡単には癒えないようすで、その後も元気がありませんでした。
学校を休む姿

親としてできる事をする

私は、息子に少しでも以前のような元気を取り戻して欲しいと思い、自分から積極的にコミュニケーションを取ることにしました。夫にも子供のことで協力を求め、Lineでメッセージを送りました。一緒に過ごす時間を増やし、小まめに声をかけるようにもしました。

子供のことで夫と協力

後日、夫と話し合い、息子との面会日を設けることにしました。きちんとタイミングが決まっていた方が良いと思い、第二日曜日は必ず面会するのようにしました。また、生活費の負担についても、息子の生活に不便がないようにと協力し合うことを確認。息子は、面会日が設けられ、父親がその日はスケジュールを守ってくれるため、息子も少しずつ元気を取り戻していったと思います。別居は本当に辛いものがありましたが、子供のことを通して夫とは協力関係が築けたと思いますし、子供の元気が取り戻せたことは何より私にとって嬉しかったです。

子供に接する際の注意点

ここでは別居の影響を最小限にするために、子供と接する際の注意点を挙げておきます。

様子をよく観察する

別居中は、子供の様子をよく観察することが重要です。別居になると、つい夫婦間の問題に気を取られがちですが、始まった初期の頃は子供を優先的に考えてください。具体的には、子供に学校での様子を尋ねたり、不安に抱えていることがないかなど小まめに声をかけ、様子をよく観察しておくことが必要です。場合によりますが、子供が落ち着くまでは、夫婦間の問題を後回しにしてもかまいません。

子供についての情報共有

夫婦間でたとえ関係性が悪化していても、子供のことに関してはできる限り情報共有するようにしてください。前述したとおり、夫婦間の問題があっても、親子関係は別のものと捉えることが必要です。子供の学校の様子、心の変化、健康状態など、重要な情報は夫婦で情報共有し、いざというときは相手に動いてもらうなどのことも必要です。

まとめ

ここでは別居に伴う子供への影響を考え、出来る対応などについてお伝えしました。その他、具体的な方法については専用ニュースレターで公開しています。別居解消に向けたノウハウなどもお伝えしていますので、今のうちに下記のフォームからご登録ください。

よくあるご質問

ここでは『別居が与える子供への影響』について、よくある質問をQ&A形式でお答えしていきます。

「パパに会いたい」という娘

【Question】
この度は、別居後の子供の気持ちについて相談させてください。夫とは先月から別居を始めました。理由は夫婦間の意見の相違が大きく、喧嘩になり出ていきました。しかし、別居が始まってから、我が家の子供たち(5歳と3歳。両方とも娘)が父親に会いたがります。特に夜になると「パパに会いたい」と泣くこともしばしばあり、私としてはどのように対応すれば良いのか悩んでいます。夫とは定期的に子供たちが会えるようにしていますが、子供たちの気持ちを考えると、もっと頻繁に会わせてあげたいとも思います。しかし、夫は「別居したのに、頻繁に会っていたら意味がない」と言います。どうすれば夫を説得できますか?

【Answer】
ご相談いただきありがとうございます。子育ては一人で行うには大変なことですし、お子様がお父さんに会いたがる気持ちを聞くのは、心が痛むものもありますよね。

まずは、ご主人にお子様の気持ちと夫婦間の問題は別であることを伝えることが重要です。子供が父親に会いたがるのは自然なことで、それを制限することは誰にとってもプラスになることではありません。夫婦問題を抱えていたとしても、子供の心の安定を優先し、定期的に会う機会を設けるようにしていきましょう。既に面会日を設けていたとしても、その頻度については調整する余地があると思います。
また、今後も親として協力できることは積極的に行っていきたいという希望も伝えていください。別居は夫婦間の問題の溜めにしたことであって、親としての責任は変わらないという認識を一致させることが必要です。一朝一夕に意見が一致しないかも知れませんが、個々は粘り強く伝えていきましょう。

子供の運動会に出席して欲しくない

【Question】
現在、夫とは別居しています。子供は小学生なのですが、今度、運動会があります。夫は参加したがると思いますが、私は来ないで欲しいと思っています。どのように対応するのが理想的でしょうか。私は別居を解消して夫婦関係を修復したいとは思っているのですが。しかし、運動会にくれば、喧嘩になると思うので来て欲しくないのです。

【Answer】
基本的に夫婦関係の修復を考えているのであれば、やはり来てもらうのが妥当です。もし、夫婦喧嘩になるかも知れないということであれば、別の場所で応援してもらうなどのことを検討してみてください。下記のページも参考になると思うので、確認してみてください。

参考ページ:別居後に子供の運動会がある!見学する方法や断られたときの対応など解説