夫婦関係を修復するために『話し合い』をすることがあると思います。その時、自分の説得力がなくて、話し合いが平行線に終わってしまうと言うことはありませんか。そこで今回は、話し合いで説得力を上げるための方法についてお伝えします。自身の説得力が高まれば、それだけ良い結果に結びつきやすくなります。
何を言っても、夫の心には響かないような気がしてしまうんですよね…。どうすれば良いですか?
夫婦間の話し合いで説得力を高めるメリット
そもそも説得力を高めることは、どのような点でメリットがあるのでしょうか。ここでは、その代表的なものを取り上げ解説します。
話しに耳を傾けてもらえる
自分の話に耳を傾けてもらいやすくなるのは1つのメリットです。説得力のある話し方をすることで、相手はこちらの意見に対して真剣に耳を傾けてくりやすくれやすいです。逆に、相手が「その意見はおかしいのではないか?」と思われる頻度が高まるほど、相手は納得しないので、意見の対立が増えてしまいます。
意見が合意しやすい
意見が合意に至りやすいという点もメリットです。説得力のある話し方ができれば、相手がこちらの意見に納得してくれて、合意に至れる可能性が高まります。話し合いは建設的なものになりやすく、何かの合意事項が得られるので、「話し合いをしてよった」という気持ちにもなりやすいです。
夫婦の話し合いで説得力を高める3つの方法
夫婦間の話し合いで、自分の意見にどう説得力を持たせるか?というのは、合意を目指す上で肝心です。そこでここでは、説得力を高めるのに役立つ方法をいくつか紹介します。
声を大きさを変える
話し合い中、自分の意見に説得力を持たせる最も簡単な方法の1つは「声の大きさ」を変えると言うものです。逆に言えば、声のトーンが常に単調になってしまうのです。例えば、ずっとぼそぼそと話していたのでは、どのような良いことを伝えていたとしても、説得力を失ってしまいます。
アイオア大学Packwood氏の実験でも、声の大きさの重要さが指摘されています。900人のカウンセラーを対象に、話しの納得感やクライアントの同意感を評価してもらい、最も点数の高かった上位24名と下位15名とを比較してみました。すると、その違いは「声の大きさ」と深い相関関係があったということが発見されたのです。
参考:Loudness as a variable in persuasion
ただ、ずっと声を大きくして話すわけにもいかないので、ポイントごとに力を込めて話をします。例えば、次のような箇所です。
1.理解して欲しい点
これは相手にどうしても理解をして欲しいと願っている点について、強調します。そこまで意識しなくても、会話の内容に集中していると自然に声にエネルギーがこもることも多いと思います。
2.重要な話しの前振り
これから重要な話をしますよという直前で、相手の注意を惹きつけるために強調することがあります。例えば「もちろん、私はあなたの言っていることが正しいと信じています」という発言をする際、「もちろん」という所を強調すれば、その後のフレーズをしっかり聴いてもらえる事にもつながります。
3.感情を込めたいところ
相手の気持ちに共感するなど、気持ちを込めたいところを強調することもあります。例えば「あなたが非常に辛いかったこと、私にも痛いほど分かる」という風に伝えるとき「非常に辛かったこと」のフレーズを強調するということがあります。
以上のような箇所で声を大きくする、あるいはエネルギーを込めてメッセージを伝えていくことで説得力が向上します。
衝突を覚悟する
夫婦間で意見がぶつかってしまうことを過渡に恐れると、自分の発言に説得力がなくなってしまいます。逆に、多少の衝突を覚悟することで、自分の意見を堂々とぶつけることができます。このように衝突を恐れない姿勢は、説得力の向上に役立ちます。
ただ、ぶつかってしまったら関係性が悪くなってしまうのではないか?と心配もあるのでしょうか。確かに夫婦間で衝突すれば、一時的な関係性の後退は避けられないかも知れません。しかし、このような衝突があることで、中長期的にはかえって関係性が深まっていく事も多いのです。
我慢せず、時には衝突覚悟で、意見をぶつけることも必要です。ワシントン大学で夫婦問題を研究するジョン・ゴットマンは52組の夫婦を3年以上にわたり追跡調査しました。すると、意見が食い違ったり、喧嘩になるのは一時的に結婚生活を揺さぶるものの、長期的には満足感を向上させると指摘しています。
参考:Marital interaction and satisfaction: a longitudinal view
少しだけ会話のペースを上げる
簡単に説得力を高める方法として、いつもより少しだけ話すスピードを上げることです。数値で言うと1.3倍から1.5倍程度です。会話のペースが速くなることで、エネルギーや情熱などが伝わる面があるからです。
コロンビア大学の心理学者William Appleらは、通常のペースよりも、130%程度早口でしゃべった場合、1番説得効果が高まるということを指摘しています。逆に、ダラダラと話をしてしまうと、聞き手は集中力を失ってしまいがちです。
参考:Effects of Pitch and Speech Rate on Personal Attributions
体験談『説得力がなく、話し合いが行きづまる』
ここでは、夫婦やりなおし相談室に御相談頂いた方から、話し合いの説得力についての体験談を送ってもらったのでご紹介します。ブログ読者さんのお役に立てればということなので、ぜひ問題解決に活かしてください。
話し合いが平行線
私たち夫婦は問題が起きると度々話し合いをします。お互い感情的になる時もありますが、冷静に意見を交わせる場合もあります。けれど夫の説得に成功できたことはあまりありません。自分の意見が通らず、どこまでも話し合いが平行線なので、私としては不満が溜まる一方です。
参考ページ:夫婦で話し合っても、どうせ平行線?
批判合戦になり、行きづまる
夫は私の言うことに耳を貸さず、私は受け入れてもらえないことに不満を感じ話し合いが終了する頃には、険悪な雰囲気になってしまいます。夫は論理的に考えたり話すことに長けているので、そうではない私は、話し合いをしていてもどんどん言いくるめられてしまう感じです。
特に、話し合いの話題が夫の女性関係や隠し事など、デリケートな問題になると、ただの批判合戦です。そういうときは自己嫌悪で一杯になります。自分がどんなに「女性と関わらないで欲しい」と伝えても全く説得力がなく、話しが行きづまってしまうのです。
対応方法を学ぶ
あまりにも私の話し合いでの説得力がないので、女性関係についてはもう静観しておくしかかないか…と諦めている自分がいます。しかし、このままだと夫のやりたい放題になるのではないかと心配になり、夫婦やりなおし相談室に相談しました。そこでは、様々な話し合いでの対応方法を学びました。適切なタイミングを選ぶ方法や、姿勢を変えて自信をもって臨めるようにすること、具体的な会話の内容などです。こういった事を1つずつ行動に移していきました。
夫が耳を傾けてくれるようになった
実際の話し合いでは、伝えたい事を紙に書きながら整理して伝えたり、相手の話しをしっかり聴くことを試したりなど、いろいろ学んだことを自分なりにやってみました。明らかに今までの話し合いとは変わり、夫が私の話に耳を傾けてくれるようになったと思います。もちろん、全てが全て夫を説得できるわけではありませんが、何回かに1回は、私の意見が通るようになりました。私にとっては大きな進歩です!
説得力を失わないために注意すべき事
ここでは、注意点として話し合いの説得力を失わせる要因を取り上げ解説します。こういった要因をできる限りなくした上で話し合いに臨むように注意してください。
背筋を丸めない
話し合いをする際には、発言内容だけではなく、姿勢も大切です。姿勢が悪待っていたり縮こまっていたりすると、それは自信のなさだと思われて、こちらの説得力が失われてしまいます。背筋はきちんと伸ばした上で、話し合いをするようにしていきましょう。
分かりませんを多用しない
話し合い中に質問されたことなどに対して「分からない」と返答することがあると思います。しかし、これを多用してしまうと、自信がないと相手に判断されて、説得力を失うことがあります。
実際、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学のキャンベル博士によると、自信がない人にいろいろな質問をすると「普通」とか「分からない」という返答が多くなるという特徴があるということを指摘しています。
もちろん、不明瞭な点については「分からない」と答えても良いと思いますが、これを多用しなように注意しておきましょう。また、どうしても返答できないことは「一度、じっくり考えて返答します」などのように言い換えても良いと思います。
強引に説得しようとしない
ほとんどの場合で、相手を強制的に説得しようとすることは夫婦関係の不和を招くことになります。自分の意見を主張することと、相手の行動を無理に変えさせようとすることは大きく異なるので注意してください。
理屈だけに訴えてしまう
相手の理性や理屈に訴えることが、ある程度必要なときがあります。例えば、家計のあり方について話しをする際などは典型的です。しかし、多くの場合、理屈に訴えるだけでは相手の気持ちや考えに影響を与えることは難しいです。なぜなら、感情的な問題を含んでいるからです。感情の問題を理屈で変えようとしても効果がありません。
まとめ
今回は、自分の発言に説得力を持たせる方法について解説してきました。夫婦問題について話し合いをする際、このことを思い出してみてください。説得力を上げようと思うと、つい多くの人は「何を言うか?」という点ばかりに注目しがちです。
もちろん「何を言うか?」も大事ですが、それと同様に「どのように言うか?」ということも重要です。どちらが欠けてしまっても説得力のある話は出来ません。「何を言うか?」という部分がいい加減であれば、必然的に発言に力が入らないので、フラットになりますし、「何を言うか?」ということがいくら正しくても、棒読みでは相手の心も動かないですよね?
ぜひ両方を両立させることを考えて、話し合いに臨んでみてください。
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よくあるご質問
ここでは『夫婦の話し合いで、説得力を上げる方法』について、よくある質問をQ&A形式でお答えしていきます。
説得力を身につける方法
【Question】
自分はいつも説得力がないと言われてします。普段からもう少し練習して、夫婦の話し合いに臨もうかなと思っています。説得力を身につける方法はありますか?
【Answer】
説得力を身につける良い方法の1つは、モデリングです。上手な人の姿をとにかく見る。それは短期間で、説得力を身につけられることにつながります。例えば、TVの討論番組などで「この人は凄い説得力があるな」と思える人を真似てみてはどうでしょうか?
実際、カリフォルニア州立大学サクラメント校Steven W. Gray博士の実験では、バトミントンの初心者24名にグリップの握り方など基本的な訓練をしたあと、20分間プロ選手の動画を視聴させるということを行ったら、基礎訓練の時より格段に上達していることが確認されました。スポーツでも、料理でも、話し合いでも、モデリングは素晴らしい訓練方法ですのでぜひ取り組んでみてください。
感情的な人を説得するには?
【Question】
夫と話し合いをしようにも、すぐに感情的になりなかなか上手く進めることができません。このような人を上手く説得できる方法はありますでしょうか?
【Answer】
相手がすぐに感情的になってしまうと言うことだと、なかなか話し合いを進めることが難しいですよね。なので、極力、話し合いで解決しないようにする、ということも考えていきましょう。話し合いだけが全てではないです。
仮にどうしても話し合いをしなければいけないとしても、その話し合いの負担を最小限にするということも可能です。例えば、ぶっつけ本番で話し合いに臨んで、感情的な相手を説得するというのは、話し合いの負担が相当大きいですよね?なので、これは誰にとっても難しい話し合いと言うことになります。
しかし、話し合い前に説得するための布石を打っておけば、本番での負担は大きく下がると言うことになります。こういったことを試して進めることになります。
理屈っぽい夫をどう説得すれば?
【Question】
夫はとても理屈っぽい性格です。そのため、話し合いの際には夫を説得しようと思っても無駄に終わってしまいます。
私が何を言っても、夫にとっては納得できる根拠に乏しいと思われているようです。論理的に反論できず、いつも夫の意見で押し切られてしまいます。
夫を感情的に説得するより、やはり論理的な説明が必要なのでしょうか。理屈っぽい夫をうまく説得する方法を教えてほしいです。
【Answer】
ご主人とのコミュニケーションでこのような課題に直面するのは、非常にストレスを感じることだと思います。一緒に問題解決の方法を見つけていきましょう。(続きは音声でどうぞ)
話しに耳を貸さない夫
【Question】
何度も夫と話をしているのですが、説得することができません。私の話に聞く耳を持ちません。どうすれば良いでしょうか。
【Answer】
説得するためのアプローチというのは、いくつかありますが、その代表的なものとして「エトス・ロゴス・パトス」というのがあります。その中の一番最初に該当するのが「エトス」です。
これは、自分自身への信頼性というものです。自分が相手から見て「信頼に足る」ということが説得の前提になっています。例えば、「めちゃくちゃ不審な人」がどれだけ良いことを言っても「怪しいな」と感じてしまいますね。ですので、話し合いでどう説得するかは大事ですが、普段の生活の中で自分の信頼性を向上させておく、ということが前提として大事になります。
参考ページ:Persuasive Strategies
してはいけない事はある?
【Question】
夫が頑なな態度をとるので、イライラしてしまいます。話し合い中もつい、感情的になってしまい文句を言うこともしばしばです。何か話し合い中にしてはいけないという注意点があれば、教えてください。
【Answer】
例えば、中途半端に相手の話しを聞いたり、感情的になってしまい声を荒げるなどは控えた方が良いです。このような態度をとってしまうと、話し合い自体が今後、出来なくなってしまいますよね。例えば、相手が話し合い自体を拒否するなどのことを招きます。そこで、下記の内容も参考にしてください。
参考ページ:夫婦の話し合いで、してはいけないこととは?NGとなる発言や態度など解説
関連記事
話し合いで、自分の意見に説得力を持たせることが出来れば、それだけ良い方向に進んでいきます。今回のポイントを踏まえて臨んでみてください。さて、今回は話し合いについての関連記事をご紹介します。併せて読んで頂くことで知識を深めて頂くことが出来ます。
話し合い中の沈黙
話し合いをしているときに、夫が黙り込んでしまうということはありませんか?こういった沈黙に対してどう対処すれば良いのか…。その際にやってはいけないコトと、適切な対処方法についいて詳しく解説します。
参考ページ:夫と話し合いで沈黙が辛い
話し合いに臨むのが怖い
話し合いに臨もうと思っても、夫から暴言を言われるのではないか?など心配ではありませんか。こう言った話し合いに臨むのは、誰でも怖いものです。そこで、その時の対処方法を2つ紹介します。参考にしてください。
参考ページ:夫と話し合うのが怖い
最適なタイミング
話し合いをする際、メッセージ内容に気を配る人は多いですが、そのタイミングも同等に重要です。適切なタイミングで話し合いをすれば、それだけ良い成果に結びつきます。一方、不適切なタイミングで話合いをすれば、それだけ困難になります。
では、いつのタイミングで話し合いをすれば良いのか?その答えは下記の記事にあります。
参考ページ:夫婦で話し合い!タイミングはいつが良い?
緊張せず話し合う
話し合いをするとなるとどうしても緊張してしまうものです。その中でも、どうにか冷静さを保って進めたいもの。その事について下記の記事で詳しく解説しています。
参考ページ:5分前でもOK!夫婦問題の話し合いで緊張しない方法
夫を変えるのに役立つことは?
どうにか夫には変わって欲しいと思うことはありませんか?そのような場合に、役立つことをお伝えします。具体的なフレーズについても紹介しますので参考にしてください。