定年退職は、生活スタイルが大きく変化するため、結果として夫婦関係にも大きく影響します。良い変化が起こるということもあれば、一方で様々なストレスを引き起こす可能性もあります。そこで今回は、定年後に夫婦間で生じるストレスと、それらを軽減するための効果的な方法について解説します。

定年後に生じる夫婦のストレスとは?

定年後に生じる夫婦のストレスとは、どちらかのパートナーあるいは両方が定年退職を迎えたあとに、夫婦関係においてストレスを感じることを指します。具体的には、心理的な緊張や圧迫感などが該当します。定年退職後は、生活スタイルが大幅に変化し、日常的にやってきた段取りが変わり、役割も変化し、夫婦で過ごす時間が大きく増加します。こういった事が原因で、ストレスに発展することがあります。

心理学的解説

夫が定年退職後、妻の健康状態に悪影響を及ぼすことがあります。このことを定年退職夫症候群(Retired husband syndrome)といいます。仕事をしているときは平日、毎日のように外出していたけれど、退職後は自宅で多くの時間を過ごすことが多くなります。こういった生活の変化によって、妻の心理的プレッシャーが増大することがあります。
参考:What Factors Affect the Evolution of the Wife’s Mental Health After the Husband’s Retirement?

定年後の夫婦が感じるストレスの種類

夫の退職後にはさまざまな心労が伴います。ここでは、具体的に定年後、夫婦間でどのような種類のストレスが生じるのか、その代表例を挙げて解説します。

心労の種類について図解

役割が変わる負担

定年前までは、夫婦のどちらか、あるいは両方が長年、仕事に就いていることが多いと思います。しかし定年退職後は、その仕事がなくなり、家庭で過ごす時間が大幅に増加します。そのため、家庭内での役割が変わります。例えば、夫が家事の多くを負担するようになったり、逆に夫が自分の役割を見失い喪失感に陥るなどのことがあります。こういったことで、夫婦の両方がストレスを感じてしまいます。

経済的な不安

仕事を退職後「経済的不安」が生じる場合、それがストレスになることがあります。定年退職してしまうため、収入が減少することが多いためです。これまでの生活水準を維持することが困難になり、それがストレスをもたらします。定年退職後は年金や貯蓄が主な収入源となりますが、これらが予想より少ないなどのことがあると、余計不安が大きくなります。

急に共有時間が増える

定年後の急に夫婦の共有時間が増えることでストレスが生じることがあります。定年前までは、仕事もあるため夫婦で過ごす時間は限られていました。それぞれ異なる日常作業があり、個別の時間が一定以上保たれていることが多いものです。しかし、定年退職により、これまで仕事に費やしていた時間を自宅で過ごすことになります。この変化が夫婦の摩擦の要因になります。夫婦喧嘩が増えたり、一緒にいることに負担を感じたりするなどが該当します。

家事に口出しをする

夫婦がお互い自宅で過ごすことが増えるため、夫が家事などに細かく口出しをするということが起こります。このようなことがあれば、妻は大きなストレスを感じます。まるで夫が家事を管理することを仕事のように進めてきます。これは、これまで仕事を通じて得ていた達成感やコントロールの欲求を、家庭内で代替しようとする行動です。

妻の家事負担が増加

定年後、妻の家事負担が増えることがあり、これが心労やストレスの原因になります。例えばこれまでは、一定時間、夫が外で過ごすことも多かったため、家事の負担も適度でした。しかし、退職後は夫の自宅で過ごす時間が増え、食事の用意などしなければいけないことが増加します。この増加した家事負担が、時間的、物理的、そして感情的なストレスになります。

夫から不満を言われる機会の増加

夫が自宅で過ごす時間が増え、夫からガミガミ言われることが増えることがあります。夫が時間を持て余すようになり、目についたことを次から次へと口出しするため、妻は負担に感じてストレスとなります。夫は職場での責任や日々の業務から解放されますが、する事がない事も多いため、その分を家庭内の管理に目を向けようとします。結果として、妻に対してガミガミいうということになりがちです。

夫婦間で定年後にストレスが増える心理学的理由

そもそもなぜ、定年後に夫婦間でストレスが増大していくのでしょうか。その典型的な理由について整理して解説します。

心理学的理由についての図解

アイデンティティの喪失

仕事から離れることが、アイデンティティの喪失に繋がることがります。職業は多くの人にとってアイデンティティ(自分はこういう人間だという思い)形成する上で中心的な要素であることが多いモノです。しかし、仕事を辞め、その役割がなくなることで「自分は一体何者なのか?」「自分の価値というのは一体何なのか?」という思いを持つことがあります。

こうした不安から、パートナーに対して不満を告げたり、イライラをぶつけてくることがあります。結果としてそれが夫婦間でストレスが増えていく理由となります。

生活リズムの変化

仕事をしていたときと生活リズムが変わることが多いモノです。生活リズムの変化があるときは、人のストレスが溜まりやすいです。例えば、朝から夫がすることなく、家でゴロゴロしている…といった状況を招くことがあります。このような状態は、妻にとってストレスになり、新しい生活リズムが根付くまで、不安定な関係になりやすいです。

定年後に生じるストレスを軽減させる方法

実際ストレスフルになった状態をどう解消していけば良いのでしょうか。ストレスを軽減させるための方法について解説します。

方法についての図解

夫婦間で話し合い

定年後に生じる夫婦間のストレスを軽減するために話し合いをする事もあります。率直にストレスになっていることを取り上げ、それを解消したいことを伝えます。例えば、定年退職後、お互い自宅で一緒に過ごす時間が増えたということを伝え、その時間をもっと有効に活用したいなどのように提案することが考えられます。そうすることで、例えば共通の趣味を見つける、それぞれの一人の時間を持つようにする、家事や責任の分担をするなどのことが解決策として出てくるかも知れません。

個別の時間を確保する

共有時間を減らし、個別の時間を確保することで、夫婦間のストレスを軽減できる可能性があります。長い間、仕事によって自然と生じていた個々の時間と空間が、退職後には大幅に減少します。そのため、夫婦間でストレスが生じている場合、個別の時間を確保することは有効です。例えば、別々の趣味の時間を持つことは、少なくともその時間、お互いストレスを感じないで済むかも知れません。一方がガーデニングをして、その間もう一方は読書やスポーツを楽しむなどのことが考えられます。無理に「一緒に過ごさないといけない」という思いを持つ必要はありません。

夫婦で健康増進に努める

夫婦のどちらかが健康的に不調に陥ると、それはもう一方に介護の負担などをさせることになり、ストレスの原因となることがあります。そのため、2人の共通した目標として「健康になる」ということを掲げ、それに対して取り組むことができます。このように共通の目標は、2人の結びつきを強くします。また、健康に関する話題が共通の話題となり、そのことで夫婦関係が活性化されることにも繋がります。

体験談『定年後、夫が家事に口出ししてきてストレス』

ここでは、夫婦やりなおし相談室のご相談者さんが、ブログ読者さんの役に立てればと言うことで体験談を送ってくれましたので紹介します。定年後の夫婦関係改善に役立ててください。

退職後、生活が大きく変わる

私はいつも自分の時間を楽しむタイプで、読書や趣味のバレーなどに没頭していました。しかし、夫が定年退職し、私たちの生活は大きく変わりました。夫はかつては仕事一筋で、家にいることが少なかったのですが、退職してずっと家にいるようになり、私たちの間には会話がほとんどありませんでした。
生活が変わることについて図解

家事について細かく指摘してくる

夫は、以前のように仕事に没頭できないためか、私のやっている家事に口出しするようになり、私はそれがうっとうしく感じていました。夫は自分の役割がなくなり、する事がないのだと思います。

趣味の写真を始める

この状況に悩んで、夫婦やりなおし相談室に相談しました。そこでは、夫の注意を別のことに向けるよう決め、実際にそのように行動していきました。夫婦共通の趣味を見つけようと決め、写真撮影を始めたのです。最初は地元の景色を撮影するために週末に出かけたり、写真の技術を一緒に学んだりしていました。そして、その写真のことでは、少しずつ自然と会話が弾むようになり「やっぱり、写真に取り組んで良かったな」と思いました。
趣味についての図解

口出しが減っていく

夫は写真を楽しむようになり、それに伴い家事に対する口出しも減っていきました。いつもあれこれ指摘されていてプレッシャーに感じて強いたのですが、それが鳴くなって私としては大助かりです。とにかく、意識を別のところに向けていく、このことが肝心だと思っています。また、いつか写真に飽きるかも知れませんが、同じ要領で対応すれば良いかなと今は少し楽観視しています。私にも気持ちの余裕ができたんだと思います。

まとめ

定年退職後には、夫婦間でさまざまなストレスが生じます。生活リズムの変化、役割の喪失、共有時間の増加など、こういった要因を特定し、できる限り早めの対応をしていきましょう。その他、夫婦関係を修復するための情報はニュースレターでも公開しています。早速、下記のフォームよりご登録ください。

よくあるご質問

ここでは『定年後に夫婦間で生じるストレス』について、よくある質問をQ&A形式でお答えしていきます。

定年後に別居するのは?

【Question】
定年後の夫婦関係に悩んでいます。昔から、夫とは喧嘩ばかりです。退職したあと、一緒に過ごす時間が増えることに対して、とても心配しています。別居することを考えていますが、それで良いのかどうすべきか悩んでいます。というのも、定年後は当然収入も減ります。なので、生活面では不安があります。しかし、多少生活がしんどくても、別居した方が精神的にはらくだと思っています。どうすればいいでしょうか?

【Answer】
これから共有時間が増えるのではないかと思うと、心配な気持ちも募りますよね。別居すれば、状況が悪くなるとは限りません。夫婦関係をより健全にするのに役立つと言うこともあります。なので、選択肢の一つとして考えても良いかとは思います。

ただ、当然、関係が悪化かるリスクもあるため、事前にご主人との入念な話し合いは必要です。お互いの気持ちや希望、老後生活に望むことなどを伝え合い、どういう生活スタイルにするのが最も理想的かということを模索していきましょう。

話をしている内に、別居しなくても共に新しい趣味や共通の活動を見つけるなどのことで、解決策を見いだせるかも知れません。

どちらにしもて、これからどう夫婦関係を築いていくのか考えることはとても適切なことです。焦ることなく、対応を検討していきましょう。

定年後、夫婦の会話がない

【Question】
私は夫がいなくても自分の趣味を楽しむことができますが、最近夫と一緒にいる時間が苦痛になっています。何を話せばいいのか分からず、会話がほとんどありません。

夫は春に定年退職しました。以前は仕事人間で、家にいる時間は少なかったのですが、退職後はずっと家にいます。それ以来することがなく、時間を持て余しているようです。仕事に忙しくしていた夫が、急に時間を持て余すようになり、戸惑っているように私には思えます。

私たちはほとんど会話をしていません。何も話すことがないのです。夫との関係を改善するために、どのように接すればいいでしょうか。

【Answer】
夫との時間が苦痛に感じてしまうとのことで、この点は今後も心配ですよね。

夫が定年退職してからの生活の変化に伴い、新たな関係を再構築する必要があるかも知れません。これは、よりよい関係をつくるための機会にもなると思います。

最初は、シンプルな方法を試してみてください。例えば、夫と共通の趣味や活動を一緒に始めるなどは妥当かも知れません。一緒に散歩をする、料理を学ぶ、または新しいスポーツを試すなど、できそうなことを1つで良いので見つけてみましょう。共通の活動を始めることで、少なくともその事では会話ができると言うことに繋がる可能性があります。

いろいろ心配な事もあるかとは思いますが、試しに1つ行動をとってみてください。

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