近年、共働き世帯が上昇しています。独立行政法人「労働政策研究所・研究機構」の調べによると1996年前後を境に共働き世帯が専業主夫世帯を超え、その後その差は広がる一方となっています。

出典:独立行政法人「労働政策研究所・研究機構」

このように共働き世帯が増加してきたことも一因だと考えられますが、「家事の分担やペットの世話など、どちらが家庭内のことを分担するのか」ということが不満に繋がりやすいです。時には別居や離婚の原因になることも。そこでここでは、家事の分担についてどう対処すれば良いのか?また予防する方法はあるのかと言ったことについて解説します。

家事分担の不公平とは?

家事分担の不公平とは、夫婦間で家事の負担が均等に分配されていない状況のことです。例えば、共働きであるにもかかわらず、妻だけが食事の用意、掃除、育児などを一手に引き受けなければいけないような状況が挙げられます。こういった家事の負担が不均衡だと、負担が大きい方に不満やストレスが溜まってしまいます。結果として、夫婦の不仲や別居、離婚問題の原因となることがあります。
家事の負担が重い

補足解説

昔は、妻が家庭内のことをおこない、夫は外で働くという分担が出来ていました。しかし、多くの国で共働きが増えています。日本も例外ではありません。そして、この共働きによって、家事分担に不公平感が出ています。たいていは妻の方が家事の分担が重い事が多いです。そして、この不公平感が続くと、不満になり結婚生活に対しての満足度が低下します。家事負担が大きいと抑うつ傾向になることも。
参考:How an Unfair Division of Labor Hurts Your Relationship

家事分担が不公平なときの対処法

もし今、家事分担が不公平になっている時はどのような対応が出来るのでしょうか。具体的にできる対応は様々ですが、ここでは代表的なものを取り上げ解説します。すべてを実行に移す必要はありませんが、出来そうなことから取り入れてみてください。

補足解説

家事の分担方法としては何が大切なのか?という重要事項を確認する事が必要です。また、逆に嫌な家事についてもリストアップしてみてください。例えば「トイレは常に綺麗でなければいけない」という価値観を持っている場合もあれば、「ある程度でかまわない」と思っているかも知れません。また、「食事の用意だけは絶対にしたくない」などの思いも、相手にはあるかもしれないです。宇言ったことをリストアップし、スケジュールを共有し、家事分担を決めることが肝心です。
参考:How to Keep Housework From Hurting Your Marriage

率直な話し合い

率直な話し合いは、家事分担が不公平なときの対処法として最初に検討すべきことの1つです。これは現在、自分が感じている家事の負担に関する不満や、精神的・肉体的なストレスを相手に伝えることから始めてください。相手とまずは問題を共有することが重要です。問題を共有したら「家事分担をしたい」というこちらの要望を伝えるようにします。ただし、要望を伝えても、必ずしも承諾されるとは限りません。相手もたまたま「今は仕事でのストレスが大きくて、家事の負担は出来ない」などのように断られることもあるからです。
話し合いのイメージ

家事リストを作成する

不公平感を是正するためには、家事リストの作成も有効です。むしろ、必須と言っても良いくらいです。家事リストの作り方は簡単で、家庭内で行うべき全ての家事を一覧にして書き出すだけです。例えば、掃除機をかける、洗濯、料理、買い物、ゴミ出し、庭の手入れなどが挙げられます。まずは、これらのことをリストアップして、視覚的に確認できるようにしましょう。リストがなければ、漠然と家事を押しつけ合うような事態になってしまいますが、きちんと紙に書くと、どちらがどれを分担すれば良いのかということが話しやすくなります。

共有カレンダー

家事分担が不公平なときの対処法として共有カレンダーの活用も場合によっては有効です。家事は毎日決まったルーチンだけではありません。学校行事や自治会の対応など、スポット的に発生することがらも沢山あります。共有カレンダーでは、これらの予定を記入しておき、夫婦間で情報を共有します。そして、それぞれのスケジュールを確認しながら、どちらが対応するかを事前に決定して対応を分担します。

外部サービスの利用

夫婦どちらにも負担できないことがある場合、外部サービスの利用も検討します。これは、夫婦双方の時間的な限界があり、家事の分担が難しい場合にプロのサービスを活用するというものです。例えば、忙しい時期にペットの世話が難しい場合にはペットホテルを利用したり、年末の大掃除では専門の掃除業者に依頼するなどが考えられます。もちろん、費用はかかりますが、家事の夫分担で夫婦喧嘩に発展したり、別居や離婚問題に繋がるよりはずっと有益です。

体験談『家事の分担を拒否する夫』

ここでは、夫婦やりなおし相談室のご相談者さんが、ブログ読者さんのお役に立てればという主旨で体験談を送ってくれたのでご紹介します。家事分担の問題について、いくらかでも参考になれば幸いです。

不公平感を感じる

夫婦共働きですが、家事の分担に不公平感がずっとありました。夫は昔ながらの亭主関白で、家事の分担は拒否されます。私がお願いしても「自分の方が収入が多いから、する必要はない」と言われてしまいます。そうわれると、私は何も言い返すことが出来ず、また変わらない日々を送り、1人不満をため込んでしまいます。

仕事を辞めることも出来ない

体力的にも限界を感じていた私は、仕事を辞めたいと考えました。ある日それを伝えると、夫は「存在価値がない」みたいなことを言って反対します。収入がないのであれば、結婚を続ける価値がない、のような意味です。ひどいな…と思ってしまいまず、離婚はしたくないので、何も言い返せませんでした。もし反論したり、仕事を勝手に辞めれば、別居や離婚など大きな問題になるのではないかと心配しています。ただ、体力的にも限界なので、夫婦やり直し相談室に相談することにしました。

今後の方向性を決める

相談室では、まず「体力的に限界が来ている」ということを夫と共有することを提案されました。そして、家事の分担も含めて、家庭を作るには協力が必要だという価値観について、少し時間をかけて話し合うように進められました。しかし、話し合う前に、自分の価値観というのを明確にすることが大事だといわれ、時間はかかりましたが「自分はこうしたい」という気持ちを紙に書き出して、明確にしていくようにしました。これは非常にスッキリしました。

話し合いを始める

その後、話し合いを始めました。最初は価値観に大きな開きがあり、これは本当に話がまとまるのだろうかと不安もありました。しかし、今回は粘り強く夫と話を続け、次第私の主張する内容もそれなりに一理あると夫が納得してくれたように思います。今は、少しずつ家事の分担について譲歩してくれるようになりました。まだまだ理想ではありませんが、それでも大きな前進だと思います。

不公平に感じる時の注意点

家事分担について不公平感を感じる場合、どのような点に注意すれば良いでしょうか。代表的な注意点を挙げますので、下記の事を守って対処してください。

押し付け合いをしない

たとえ、家事の分担で不公平感を感じていても押し付け合いにならないよう注意が必要です。夫婦間で家事を押し付け合うような状況は、お互いのストレスや不満を増加させ、結果として夫婦関係の悪化につながるからです。どうしてもそのような雰囲気になってしまったときは、一旦保留にするなどして、感情的な落ち着きをとり戻すことを優先してください。

方向性を確認する

協力関係を確認することにも注意してください。夫婦が家庭内で協力関係を築くことが家庭を成り立たせるためには必要不可欠です。その考えを共有することが重要です。今、表面的な問題としては、家事の分担で揉めているかも知れません。しかし、本質的には、夫婦がお互いに協力し合う姿勢を持てるかどうか?ということが課題です。家事の問題解決を通して、協力姿勢を築くのだという姿勢を忘れないようにしてください。

まとめ

家事の分担で、別居の発端になってしまったり、夫婦喧嘩の元になってしまうことがあります。大きな問題になる前に対処しておきたいところです。最初は話し合いなどから始めてみてください。それで万事上手くいくという訳ではありませんが、まずはお互いで問題を共有しなければ変えることができないので、まずは最初にこのことを取り組んでみてください。その他、夫婦関係改善のために下記のニュスーレターに登録することも検討してみてください。

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ペットの世話

ペットの世話についての記事
とりわけ家庭内別居中はペットの世話など、どう対応すれば良いのか?困ってしまうのではないでしょぅか。どちらにが分担するのか、話し合って決めるのも難しいことが多いです。そこで対応方法について下記で解説します。

参考ページ:家庭内別居中のペット対応をどうする?世話の分担などについて解説