良い所がないので夫を褒められない?

夫婦関係を良くする最も簡単でかつ、確実に重要な事の1つは「相手の良い所を見つけて、その点を褒める」ということです。

しかし、夫に良い点などない!とつい思ってしまいますよね。もちろん、風俗に行くとか、約束を破って飲み会に行って朝帰りするなど、旦那のことを思い出すと腹立たしい事も多々あると思います。しかし、もしかしたら、その自分の見方には偏りがあるかも知れない?ということは自覚しておく必要があります。

「褒めたいけれど、そんなとこは夫にない!見つからない」と思っているなら、今回の記事を参考にしてください。

夫のことを褒められないことで生じる問題

ここでは、夫のことを褒められないという状態が続くと、どのような問題が生じるのか整理してお伝えします。

自己評価が低下

褒められないことで、夫は自分の存在価値が認められていないと感じ、自尊心が下がります。比較的多くの夫が家族を養うことを重要な役割の一つと考えている可能性があり、その努力が評価されないなどのことで「頑張ること」の意義を感じられなくなります。頑張ることと、褒められることは連動していることが多く、その循環ができないと次第に自信を失っていきます。

信頼関係が損なわれる

夫のことを褒めないことで、夫婦の信頼関係が損なわれることがあります。そもそも相手のことを褒めるというのは、相手のことに関心を持っていなければできません。そして、それを形にして表現するのが「褒める」という行為です。そのような相手への関心・理解を示すことが夫婦の信頼関係構築には重要です。

日常会話が減る

夫のことを褒められないと、夫婦の日常の会話が減り、コミュニケーションが取りづらくなることがあります。褒めることは相手の良いところに目を向け、認める対話です。そういった「認められている」という認識が会話の原動力になります。しかし、その原動力がなければ、次第に夫婦の会話が消極的なものになりがちです。

批判的になる

夫が妻から褒められないことで、夫は自分の努力や存在が妻に認められていないと感じることがあります。その結果、夫は妻への不信感を抱き、妻の行動を批判的に見るようになります。具体的には、夫は妻の家事・育児への取り組み方などを批判するようになるなどのことが該当します。

夫を褒められない原因

そもそもどうして夫のことを褒めるというのはこれほど難しいのでしょうか?そこでここでは、夫のことを褒められない原因についてお伝えします。

他人からしてもらったことを忘れてしまう

人は自分のしてあげたことはよく覚えています。一方で、他人からしてもらったことは忘れがちです。そのことが、褒められない原因になっています。

実際、カリフォルニア州立大学のデビット博士は、被験者に対して次の4つの項目について、それぞれ5分間思い出してもらうという実験を行いました。

thesis
出典:Why we are fairer than others

実験では何を思いだしてもらうか?というと下記の項目です。

  • その1.自分がして上げた良い行動
  • その2.他人が自分にしてくれた良い行動
  • その3.自分がした悪い行動
  • その4.他人が自分にした悪い行動

すると、他人が自分にしてくれた行動よりも、自分が他人にして上げた良い行動の方を人は思い出しやすかったのです。(正確には自分が他人にして上げた良い行動は5分間で平均4.2個。他人が自分にしてくれた良い行動は平均2.9でした)

実験の結果その1
一方、悪い行動については、自分がした悪い行動よりも、他人がした悪い行動の方を人は思い出しやすかったのです。(正確には、自分がした悪い行動については5分間で平均2.73個しか思い出せませんでしたが、他人がした悪い行動は、4.28個思い出すことが出来ました)

実験の結果その2
つまり、次の2点が一般的には言えるということになります。

  • 1.自分がした良い行動は覚えているけれど、他人がしてくれた良い行動はあまり記憶に残らない
  • 2.自分がした悪行はあまり記憶に残らないけれど、他人がした悪行は記憶に残りやすい

人は一般的に「自分は善人。他人はそれほど善人ではないし、むしろ悪人だろう」のようにどうしても見てしまうということです。

自分の方が良くやっていると思う

普段、何も意識しなければ例えば「夫は私ほど、良い行動はしてくれない。むしろ、問題行動ばかり起こしている」とどうしても見えてしまいます。自分の方が良くやっていると思ってしまうので、相手のことを褒めることが困難になります。

実際にこれを検証するために、ウォータール大学のマイケル・ロス博士は、数十組の夫婦に次のような実験を行いました。

「朝食をつくる」「皿を洗う」「家の掃除をする」など家事を20項目取り上げ、どれくらい自分はやっているのか?そして、パートナーはどれだけやってくれているか?ということをパーセンテージで答えてもらったのです。

論理的に考えると、例えば「皿を洗う」という家事があれば、常に夫婦どちらかがやっているので、例えば「妻が60%やっている」と回答し、「夫が40%やっている」のように答えてくれるハズです。

家事の分担比率のグラフ
これで皿を洗うという家事は100%出来ていると言うことになります。

しかし、このように家事の分担としてほぼ整合性がとれたのは20%程度で、残り80%の項目については、お互い「自分の方が多く家事をやっている」と返答したのです。

例えば、皿洗いという項目があれば妻は「私が90%くらいはやっている」と返答し、一方で夫も「皿洗いについては私が80%はやっている」のように返答したということです。

最大で、皿洗いは100%までしか出来ないにも関わらず、これでは、皿洗いは全部で170%くらいこなしていることになります。

このように人は「自分がやった善行」についてはとても思い出しやすいし、「人よりやっている」と思い込みやすいのですが、他人がやっていることについては、なかなか客観視して認めることが難しいということです。

夫のことを褒められるようになる方法

夫のことをなかなか褒められないという状態にあったとしても、それを何とか解決したいものです。しかし、具体的にどのようなことに取り組めば良いのか?ここではその方法を3つ取り上げて解説します。

相手のことを観察する

相手の良いところを見つけようと思ったら、意識して観察をすることがまずは大切です。普段、相手がたいしたことをしていないと思っていても、じっくり観察してみると意外にいろいろなことをしてくれていることに気づけるかも知れません。

偏見を捨てる

もし自分が「夫の問題行動ばかりで、良い事などしてくれない」と思っているなら、まずはその意識を捨てることが大切です。どうやって捨てれば良いのか?ということですが、これは「気づく」度に捉え方を変えるというプロセスを踏むことになります。

つまり、自分の事を客観視して相手のことを偏った見方をしているなと気づいたら、その都度リセットして、極力、偏りがないように見直してみるということです。簡単な偏見をなくす方法はありませんが、繰り返し、見方を改善する事によって、次第に変換の意識がなくなっていきます。

言葉に出してみる

相手の褒められる点をもし見つける事ができれば、そのまま言葉に出してみましょう。実際に言葉に出すことによって、益々相手の良い点を見つけようという気持ちが高まるからです。こうして相手の良いところを見つける、それを伝える。そして、夫婦関係が良くなっていくという好循環を作っていくことができます。

体験談『夫のことを褒められなかった自分』

ここでは夫婦やりなおし相談室のご相談者さんが、ブログ読者さんのために少しでも参考になればということで、送っていただいた体験談がありますのでご紹介します。

何かと批判的な夫

以前、私は夫婦関係に悩んでいました。夫が私のことを何かと批判してくることが多かったからです。その原因は何だろうと思っていたのですが、心当たりもないので、私も反発して、いつも険悪な感じだったのです。「このままでは…」と思い、夫婦やりなおし相談室に相談を申し込みました。

批判的な態度をとる理由が分かる

そこで事情を伝えると「自分が相手のことを肯定していないことに対しての相手の不満」「自分が肯定されないから、周囲を批判することで一時的な満足感を得ていること」など原因について色々教えてもらえました。そして、実際結婚してから、夫のことを褒めた記憶がないことにも気づきました。あーそうなんだとこのとき凄く納得しました。

アドバイスを受けてやってみる

相談室では夫相手のことをまずは観察することや、どう掘ると効果的なのかといったことを色々教わりました。このアドバイスを受けて、夫の日常を注意深く観察することから始めたんです。

最初は、特に変わったことはないと感じましたが、何度も観察していると、次第に細かいことに気づけるようになりました夫のさりげない努力や優しさが分かるようになってきたんです。「私の目は今まで節穴だったのか」とこのときは愕然としました。

その後の夫婦関係

その後、気づいたことを極力、言葉という形で夫に返すようにアドバイスを受け、実際それをできる範囲で進めました。緊張しながら「今日、洗濯物をたたんでくれてありがとう」と伝えてみると、夫も驚いた様子でしたが少し明るい様子になった気がします。今は私もより自然にこのことができるようになってきましたし、いつの間にか夫との会話も増えてきたと思います。これからも、この観察と伝え方の方法を忘れないようにしたいです。

まとめ

今回は2つの実験を紹介しました。1つはカリフォルニア州立大学のデビット博士による実験です。この実験から分かることは、人はどうしても「そもそも人は自分はよくやっている」「でも、他人はそれほど良くはやってないし、むしろ悪いことをしている」と思いがちだというものです。

そして、もう1つの実験はウォータール大学のマイケル・ロス博士によるもので、夫婦間でも「自分はよくやっている」「夫(パートナー)は、そこまでやってない」ととどうしても思えてしまうということです。

夫婦間で重要なコミュニケーションの1つは「相手のことを褒める」ということなのですが、この実験から分かることは、案外、相手の良い所を見つけることが難しいということです。良い所がそもそも見つからないのですから、当然、「褒める」ということは実践出来ないですよね?

なので、まずは必死になって相手の良い所を見つける、ということを進めていきましょう。意識して「見つけよう」としないと見つからないということですので。その他、夫婦関係を変えるノウハウは、夫婦関係修復ニュースレターに公開しています。今なら無料購読できますので、下記のフォームよりご登録ください。

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