夫婦関係を修復するために期間限定で別居をおこなうということがあります。一般的な別居よりもリスクが低く、メリットも多いため、どうしても別居を避けられない場合、一考の価値があります。早速詳細をご確認ください。

期間限定の別居とは?

期間限定の別居(または一時的な別居)とは、夫婦が一定期間だけ別の場所で生活することを指します。また一般的な無期限の別居と異なり、別居期間を双方で話し合い、事前に合意しているのが特徴です。

期間限定についての図解
また、夫婦間で期間について話し合っていることはもちろん、場合によってはその目的も確認していることがあります。例えば「今回の別居はお互いの冷静さを取り戻すためだ」のようにです。このように期間限定の別居は、多くの場合、夫婦関係に一時的な距離を置き、問題を冷静に考えるための手段としておこなわれることが多いです。

期間限定で別居するメリット

そもそもどういったメリットがあるのか?ここではその点を整理して解説します。

参考ページ: Do Trial Separations Work?

感情の整理ができる

感情の整理ができるという点は、メリットの1つです。夫婦喧嘩が頻発している時期など、夫婦が一緒にいると感情的に落ち着かないということがあります。こういった時に物理的な距離をとることで、自分の気持ちを落ち着かせ、問題を客観的に捉えやすくなります。また、場合によってはお互いの関係性について反省する機会につながる可能性もあります。
感情整理についての図解

期間が延びることを避けられる

期間限定の別居は、一般的な無期限の別居と異なり、一定の期間に限定されます。そのため「延々と別居が続き、夫婦関係が平行線になる」というリスクを軽減できます。無期限の別居では「いつ戻ってくるのか分からない」という不安も大きくなるため、メンタル的にはよいものではありません。

考えをまとめやすい

期間限定で別居をおこなう場合、最初から終了期日が設定されているので、その日までには何らかの考えを出そうという意欲がわきます。仕事でもそうですが「期限がない」と延々と手を付けないということが多いものです。しかし、期限が決まっていると「その日までには、自分の考えをまとめて伝えよう」という目処をつけやすいです。

話し合いの機会を設定しやすい

最大のメリットの1つとも言えますが、期間限定の別居は話し合いしやすいという点が挙げられます。通常、別居紀元の終了前後では、話し合いを持つことが多いためです。期限の終了日前後はターニングポイントにもなりやすいので、今後の方向性について話し合う重要な時間となります。

また、話し合いの機会があらかじめ設定されていることで、別居中に発生する可能性のある方向性や改善策を積極的に模索するという姿勢を生みやすいです。

期間限定の別居をするリスク

仮に期間限定の別居をするとしても、デメリットも伴います。これらを踏まえて、期間限定の別居をするかどうかを検討してください。

感情が遠のく

期間限定の別居をしたとしても、感情が遠のいてしまうというリスクは伴います。別居の主な目的は、多くの場合、振り返りと問題解決策の模索、自分自身と向き合う時間を確保などのことがあります。しかし、夫婦が物理的に離れて過ごす時間が増えると、感情的な距離も広がるリスクが生じます。
心理的距離についての図解
これはそれぞれが別々の生活をすることによって、夫婦として過ごす時間が減少することで感情的な繋がりが弱るからです。万が一、心理的な距離ができてしまうと、同居に戻すときのハードルが高くなります。

異性関係ができる

通常の別居の場合も同様のリスクがありますが、異性関係ができるという可能性もあります。特に夫婦間で感情的な距離が広がっている状態で、新しい人と接する機会が増えると、恋愛関係が生まれることがあります。もし別居期間中に、こういった新しい異性関係ができると、元々あった夫婦関係の問題がより複雑化する事が多いです。

子供への影響

もし夫婦に子供がいる場合、期間限定の別居が子供に与える影響もあります。子供はこれまでいた両親が不在になることで心のバランスが崩れやすくなり、ストレスや不安を感じることがあります。大人にとっては別居が短期間であったとしても、子供にとってはその期間が長く感じることもあります。学校への登校や友達関係、メンタル全般に影響することがあるので注意してください。

【6ステップ】期間限定で別居する方法

期間限定で別居する場合には、計画的かつ慎重に進めることが重要です。以下にそのステップを簡単に説明します。

ステップ1.夫婦間で話し合い

ステップ1でおこなう夫婦間の話し合いは、期間限定で別居することについて話しをします。具体的には、何のために別居するのか(例えば、感情の整理、問題点の特定と解決など)や具体的な期間(例えば、3ヶ月、半年など)、なぜ期間限定で進めた方が良いのかなどのことを伝え、夫婦間で合意することを目指します。
話し合いの図解
別居の趣旨が異なっていると、あとで摩擦を引き起こす可能性が高いです。また、家計や子供の面会についてもこの段階でおおむね合意をしておくとスムーズです。

ステップ2.条件を決める

具体的な別居の条件について合意しておきます。もっとも基本的なのは別居期間です。この期間設定があることで、その終了後には話し合いができるなどのことにつなげることができます。また、生活費についても細かく話し合います。例えば、どちらが家賃や公共料金を支払うのか、日常の支出はどう分担するのかなどです。また、子供がいる場合は、その面会についても取り決めます。

ステップ3.子供への説明

子供は家庭環境の変化に敏感なので、夫婦関係が不安定であると感じると心理的なストレスを感じることが多いです。期間限定であっても別居をする場合、子供への説明が必要なことがあります。

具体的な説明の仕方については、子供の年齢や性格、理解度に応じてアプローチを変える必要があります。基本的には、夫婦で一緒に子供に説明をおこない、別居が一時的なものであり、それぞれの親が子供を愛していることを伝えます。また、具体的な生活の変化例えば、「普段はこれまで通りこのアパートに住むようになるけれど、週末は父親の家で過ごす」なども説明することで、子供がどういった状況になるのかをイメージしやすくなります。

参考ページ: Talking to children about separation

ステップ4.住居の確保

いよいよ別居を始める場合は、その場所を確保します。費用、立地、距離など、さまざまな観点から慎重に場所を選ぶ必要があります。費用に関しては、別居期間中の収入と支出を明確にし、無理なく維持できる住居を選択します。高すぎる家賃は、別居が始まると途端にストレスを招くので注意してください。これは、夫婦関係に非常に悪影響です。

ステップ5.別居の開始

住居が確保できたら、条件などを再度確認した上で実際に別居に入ります。ただし、別居を始めただけで夫婦関係の問題が解決するわけではなく、この期間中にどのような行動を取るかが重要です。

ステップ6.話し合い

予定していた別居期間が終了すれば、夫婦がこの期間を通じて何を考えたのか?といったことについて話し合いの機会を設けます。この時、それぞれが抱えていた問題が解消したか、あるいは新たな考えが浮かんだか、そして感情が整理できたすかなど、別居を始める元々の目的に沿って話しを進めていきます。

最終的には、別居期間を延長する、あるいは離婚を選択、同居に戻すするといった選択肢を検討し合意を目指します。このステップは、家族全体に大きく影響するため、十分な時間とエネルギーをかけておこなう必要があります。

適切な別居期間の設定方法

適切な別居期間の設定は、その別居が意味のあるものになるかどうかに影響を与える要素の1つです。期間を短く設定すると、問題解決や感情の整理に十分な時間が確保できない可能性があります。逆に、期間を長く設定しすぎると、夫婦間の心理的距離が無駄に生じてしまいマイナスの影響を与えることもあります。そのため、別居期間の設定は、以下の点を考慮してください。

目的を明確にする

今回の別居を通して何をしたいのか、何を解決したいのかを明確にして、その目的に応じて期間を設定します。例えば「感情の整理をしたい、落ち着きをとり戻したい」ということであれば、数週間から1-2ヶ月程度が妥当かもしれません。あるいは「今後の結婚生活の改善点を考える」などの目的であれば、長くてきも3ヶ月程度で良いと思います。

費用から考える

別居期間中は、それなりの費用が発生します。そのため、長い期間の別居をしたいと思っていても、現実的には難しいこともあります。別居に使える費用面から、最大でどれくらいの期間、別居が可能かを事前に確認しておくのが妥当です。

イベントの確認

別居とは無関係にさまざまなイベントが発生します。例えば、年末年始があるとか、子供の進学などのことです。こういったイベントに合わせて別居期間を設定することが必要なこともあります。

体験談『無期限から、期間限定別居に変更』

ここでは夫婦やりなおし相談室のご相談者様が、ブログを読んでいる方にお役に立てればということで体験談を送ってくれているので、それを1つ紹介しておきます。

何年も冷たい関係

最近は、夕食の時もほとんど夫婦間で会話はありませんでした。そういう日々だったのですが、夫がある日「別居しよう」と切り出してきました。
冷たい関係についての記事
ここ数年続いていた冷たい関係の結果、とうとうこの結論に至ったかと感じました。もちろん、それでも私としては衝撃でしたが。。その後、夫は簡単な手荷物を持って、家を出てしまいました。

新たな視点

しばらく落ち込んでいましたが、何とかこの状況を変えたいと考え、夫婦やりなおし相談室で別居の相談をしました。すると「別居を避けられない場合は、期間限定に設定するとその後の関係修復がしやすい」といわれたので、理由を聞いて「確かに」と思ったのですが、遅かったと思い悔やんでいました。

これまで期間を設定しなかったことで、別居期間がダラダラと続いていました。周囲からも「夫がいない、出て行ったのではないか?」と思われているのではないかと思いと、次第に精神的にも苦しくなっていきました。

期限を設定する大切な話し合い

その後、相談室の協力で夫と再度、話し合いの機会を持つことができました。夫も平行線であることに苦しんでいることがわかり、お互いの合意で、残り3ヶ月だけ別居を続けるということで期限を設定することができました。

期限を設定することで、私は初めて「先が見えた」と感じました。小さな事かも知れませんが私にはとても大きかったです。別居は話し愛護も当然続きましたが3ヶ月という期限があるので、心の中に一定の安定感が生まれたと思います。

話し合いの機会を持てた

無期限の別居を続けていたときは、将来の見通しが立ちませんでした。しかし、期限があれば、自然にその日が近づくにつれて、自分の考えも整理でき、夫との連絡も増え始めました。おそらく夫も期限があることで「そろそろコミュニケーションをとらなければ」という思いが生まれたのではないか?と思っています。

その後、話し合いをして、今もまだ継続して話し合いをしていますが、それでも期間限定の別居の方が遙かに事態が前進していると思います。ここまできたので、夫婦関係を修復するまであと一歩頑張りたいと思います。

期間限定で別居する場合の注意点

ここでは、実際に期間限定の別居を刷る場合の注意点についてお伝えします。

条件は柔軟に見直す

別居の期間やその他の条件(生活費や子供の面会など)を設定していたとしても、不測の事態はつきものです。状況や環境が変わる度に、見直すようにしてください。例えば、想定していたよりも気持ちの整理が付かないので期間を延長する、別居期間の途中で話し合いをすることに変えた、生活費の変更など、さまざまな見直しが考えられます。

コミュニケーションはなくさない

仮に期間を決めて別居するとしても、その間し連絡をゼロにすることは避けた方が妥当です。ある程度、コミュニケーションをキープしておかなければ、相手が何を考え、どう感じているのかを知る手段も失われてしまいます。お互いの気持ちや状況の把握ができなくなると、通常は関係の修復も難しくなる傾向があります。

まとめ

今回は期間限定の別居についてお伝えしました。通常の別居と比較して、より建設的に取り組むことができるので、どうしても別居を避けられない場合はこの方法を検討してください。その他、期間限定別居についての話題は『夫婦関係修復ニュースレター』で公開しています。今なら無料購読できるので、下記のフォームよりご登録ください。

よくあるご質問

ここでは『期間限定で別居する方法』について、よくある質問をQ&A形式でお答えしていきます。

離婚のための別居期間だという夫

【Question】
夫は離婚のための別居期間だといいます。私は、修復のための期間限定別居だと伝えています。このように別居の目的について意見が一致しない場合、どうすればいいでしょうか。

【Answer】
原則として、別居に対しての目的が一致した方がその後同居にもどすのもしやすいと思います。ただ、どうしてもその点で合意できない場合は「両方の可能性をお互いが考える機会にする」などのような形で話しを進めても良いと思います。離婚することも、結婚生活を続けることも、両方を考える機会にするということを伝えてみてください。

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ここで『期間限定で別居する方法』に関して関連記事をご紹介します。併せて読んで頂くことで、より知識を深めていただけます。

長期間の別居

長期別居についての記事
もし別居した相手と長期間連絡を取らなければ様々な問題が生じることがあります。その詳細は下記の記事でお伝えします。

参考ページ:長期間、別居した夫と音信不通にする危険性

回避したい

回避するための方法について
別居を回避したいと思ったらどのような対応をすれば良いのでしょうか。詳細は下記よりどうぞ。

参考ページ:別居を回避する5つの方法

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どうしても別居を避けたいと思っていたとしても、してはいけないNG行動があります。その詳細について解説します。

参考ページ:別居回避のために、してはいけないこと

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説得についての記事
もし別居はしたくないという場合、相手を説得したいと考えるのではないでしょうか。その場合の方法や注意点など解説します。詳細は下記よりどうぞ。

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Lineやメールの活用

Lineやメールについての記事
どうにか別居を回避したい場合、Lineや目ヘールの活用も考えたいところです。そこで、その具体的な方法や事例など解説します。

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