夫婦関係の再構築が難しいと感じる時、その背後にはさまざまな原因や問題が隠れていることが多いものです。そこでここでは、再構築が難しいと感じているとき、どのような対策や心構えを持って臨めば良いのか詳しくお伝えします。

再構築ができない夫婦の特徴

夫婦関係を続けていくと、さまざまな山や谷が存在します。その中で、関係の再構築が特に難しいと感じることがあります。そして、再構築が難しい状態になっている場合、いくつか特徴があります。そこでまずはその点を整理しておきます。

特徴についての図解

信頼が失われている

信頼が完全に失われた夫婦関係だと、再構築が難しいと感じてしまいます。具体的には、相手の言動には何か裏があるのではないか?と疑ったり、相手の行動を警戒する状態のことです。相手がどんなに小さなことでも嘘をついているのではないかと疑いの目を向けてしまいます。逆に相手からすると、言動のすべてを監視されているのではないか?と思ってしまいます。

例えば、夫婦やりなおし相談室へのご相談者さんにも、よくこのようなことがあります。夫が「今日は残業するから遅くなる」といっているけれど、妻としてはそれを信じることができず、本当は別の異性と会っているのではと疑うなどのことです。

心理学的解説

信頼がない状態は、夫婦間で対立を招きやすいです。結果としてお互いが孤立していきます。また、不信感は、相手を犠牲にして自分勝手な行動をとることなどのよっても生じます。また、ジョン・ゴッドマンの縦断的研究では信頼関係のスコアが低い場合58%が20年間の研究中に亡くなっていると伝えています。このように信頼関係の欠如はメンタル的な負担にも大きく関わってきます。
参考:The Deeper Meaning of Trust

相手が変わらないと思ってしまう

相手は変化しない、もう何を言っても頑なだろうのように思ってしまうとき、夫婦関係の再構築が困難になります。これは自分がそうなっているときもあれば、相手がそうなっているときもあります。この場合、相手の性格や行動パターンが頭の中で固定化され、もはや改善の余地がないと諦めた気持ちになりやすいです。
変わらないと思うイメージ
例えば、相手の自己中心的な性格はもう変わらないと決めつけ、「もう好きにさせておくしかないだろう」と諦めの境地になります。「変わらない」と思ってしまうと、再構築のための行動が無意味に思えてしまうという側面もあります。

コミュニケーションがとれない

再構築が困難な夫婦の特徴の中で「コミュニケーションがとれない」という点を挙げることができます。コミュニケーションがとれることで、人は相手への理解や信頼を深めることができます。しかし、それが叶わないと感情的な距離ができたり、ちょっとしたことで誤解を生み夫婦喧嘩に発展するなどのことがあります。

例えば、夫が仕事のストレスを抱えて帰宅する日が続き、自宅で会話ができないなどということは、よくあることです。しかし、それが継続してしまうと、妻は夫の態度が冷たいと感じたり、無関心だと感じてしまいます。場合によっては、自分への愛情がなくなってきていると解釈するかもしれません。

浮気などで失望感がある

相手の浮気などでの失望感があると、再構築が難しいと感じてしまいます。浮気は単なる行為以上に、裏切りという強い感情や、夫婦間の信頼関係を根底から揺るがす出来事として捉えられます。失望感は、一度形成されるとその後の夫婦関係において疑念や不信感を常に引きずる原因となり、夫婦関係の再構築を難しくします。
失望感のイメージ
例として、妻が夫の浮気を知った場合を考えてみましょう。浮気そのものの行為はもちろん痛みをもたらしますが、それ以上に「なぜ夫は浮気をしたのか」「私に足りないものは何か」という疑問や不安が生まれることが多いです。
また、夫が「もう二度としない」と約束しても、以前のような信頼関係を取り戻すのは容易ではありません。日常の些細な行動や言葉に、再び裏切られるのではないかという疑念が生じ、これが夫婦間のコミュニケーションの障害となることがよくあります。

自分の非を認めない

自分の非を認めないという姿勢も、夫婦関係の再構築を困難にする要因として挙げられます。「それはあなたが間違っているのでは?」という指摘に対して、相手が「いいや、自分は正しい!」と言い張るような状態です。
否認のイメージ
このように非を認めない態度は、多くの場合「どっちが正しいか?」という権力闘争的な争いを生むこともあり、無意味な夫婦喧嘩を増やすことがあります。

例えば、夫がギャンブルで借金を作ってしまったとします。もし夫がその事実を隠したり、お小遣いが少ないことが問題なのだと妻のせいにして責任を逃れようとするならば、夫婦関係は大きく後退することになります。妻としては、夫が自分の非を認めないため、不信感や疑念を持つことになるからです。

自己中心的な態度

自己中心的な態度があると、再構築が難しくなることがあります。自己中心的だと、自分の欲望やニーズを優先し、相手の感情や考えを軽視する傾向があるからです。このような姿勢があると、もう一方に疎外感や不満を感じさせます。

例えば、夫が趣味や友人との付き合いを優先し、家庭の責任を二の次にするなどというのはよくあることです。このように、夫が家庭を顧みず、自分の時間を最優先し続けると、妻の存在や希望が無視されていると感じます。こういった自己中心的な行動があると、お互い相手に関わらないなどの状態を生むことになります。

再構築ができない原因

あんまりな惨事に「関係を修復することは本当に可能なのか?」と疑問に思った経験もあるのではないでしょうか。何とかしようと奮起しても、うまくいかないと感じることもあると思います。そんな時、原因は一体何なのか?この事について整理してお伝えします。

原因についての図解

コミュニケーション不足

再構築できない原因として、もっとも多いことの1つは、コミュニケーションの不足です。お互い相手が何を考えているのか、どのような気持ちなのか分からないので、なかなか良い変化を起こせません。

また、継続的なコミュニケーション不足は、お互いの意識のズレが生じやすいため、誤解や孤立感が増大するリスクがあります。このような状況が繰り返されると、関係が悪いまま平行線が続いていくような状況を招きます。

心理学的解説

コミュニニケーション不足だと、再構築は困難になりがちです。例えば相手が困っていても、支え合おうとしないため、結果として関係性を築くことができません。また、相手が何を考えて、どんなことを欲しているのかといったことを理解できないため、赤の他人と一緒にいるような感覚にもなります。このように、コミュニーション不足は、夫婦関係の再構築をより困難にします。
参考:3 Detrimental Effects of Lack of Communication in Marriage

外部のストレス

外部のストレスとは、夫婦関係自体の問題ではなく、仕事などの外部の要因を指します。例えば、職場での人間関係や業務のストレス、経済的な悩み、親の介護や健康問題など、これらの外部要因は個人のストレスを増大させ、それが夫婦関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。

また、夫婦間で外部のストレスを共有しない場合、一方が独りでそのストレスを抱え込む形となり、感情的な孤立や疲労感が増加するということもあります。あるいは、イライラや怒りが溜まり、些細なことから夫婦間の口論が発生しやすくなることも考えられます。

メンタルの落ち込み

これまでの夫婦関係に疲れ、自分のメンタルが落ち込んでしまうと再構築できない原因になります。気力が不足していくため、前向きに考えることもできないですし、何か「これをしてみたら良いかも知れない」ということを思いついても、行動していく気力がわいてきません。

問題解決のスキル不足

問題解決のスキルが足りず、再構築できないということもあります。問題解決のスキルというのは、例えば、率直に問題を指摘する力や話し合うためのスキル、最適な解決策を実行する決断力などです。

夫婦間では、さまざまな問題や摩擦が生じることがありますが、これらの問題解決のスキルが不足していると、問題が放置されたままになるので、次第に夫婦関係を悪化させていきます。

夫婦関係を再構築する際の心構え

夫婦関係を再構築しようとおもったら「心構え」は非常に重要です。適切な心構えをもって取り組まないと、やり方を学んでもうく、それを活用することができないからです。そこで、いくつか代表的な心構えを取り上げ解説します。

心構えについての図解

過去にとらわれない

夫婦関係の再構築に向けて行動する場合、過去を引きずらないことが大切です。過去の出来事やトラブル、誤解やミスは過去のものとして受け入れ、それを蒸し返すことは、夫婦関係の再構築を阻害することがあります。それよりも、現在の自分たちの関係や未来にどのような関係を築いていきたいかに焦点を当て、前向きな姿勢で取り組むことが、再構築には欠かせません。

もし「過去の事がどうしても許せないのに…」と思うのであれば、それはまだ再構築していく具体的行動をとる段階ではないかも知れません。

問題に向き合う意思

夫婦関係の再構築において、問題に向き合う意識を持つことは不可欠です。通常、夫婦間に問題があれば、それを考えるのも嫌という気持ちになってしまいます。それらを無視することは一時的な心の平和をもたらすかもしれませんが、長期的には関係の亀裂を深める要因となります。そのため真摯に向き合い、解決策するために問題を直視しようという意識が必要です。

例えば、子育てについての意見の不一致が発生した場合、それを無視したり一方的に主張を押し通すのではなく、共に話し合いの場を持つことが大切です。自分と異なって意見を相手が持っていたとしても、その異なった意見に耳を傾ける勇気が必要です。

夫婦関係を再構築するための対策

真摯に夫婦関係の再構築を求めるなら、具体的なアクションが必要です。そこでここでは、どのような行動をとるべきかいくつか代表的なものを取り上げ解説します。

対策の図解

自分自身のケア

自分自身のケアは、夫婦関係の再構築の過程において重要です。再構築のプロセスは心身ともにエネルギーを要するもので、その過程で自分のメンタルの調子を崩してしまうということは多々生じます。そこで、小まめに、自分の感情や健康、メンタルの状態をケアしてください。それは結果として、夫婦関係を再構築する原動力になります。

例えば、自分が疲れていると感じたときはいくらかでも、休息を取るようにします。大きな事を考えず、身近なことでできる込みとを進めてください。趣味やウォーキング、軽い体操をするなどてもかまいません。ストレスの状況によって「取り組むべき事を変えてもよいと思います。

自己改善

自己改善は、夫婦関係の再構築においてとりくむことが大切です。相手が変わらないのであれば、自分から率先して変わる事が必要です。また、相手に問題があるとおもっていても、実際には自分の態度や行動・発言などによって、相手の問題行動を増長しているなどのこともあります。そのため、状況を客観的に眺め、自分の弱点や改善すべき点を洗い出すようにしてみてください。

問題解決スキルを身につける

問題解決スキルの習得は、夫婦関係の再構築を加速させます。夫婦関係の問題解決には、正しい対処方法があります。その対処方法が分からないと、離婚リスクを無駄に高めてしまったり、時間が長引くことに繋がったりします。
そのため、具体的に夫婦問題に対処しようとする前に、解決に向けてのスキルや方法を習得することも効果的です。夫婦関係におけるトラブルを早期に乗り越え、離婚リスクを下げることに役立ちます。

再構築が困難な時の対応

夫婦間の問題は複雑で、時にはどれだけ努力しても解決の糸口が見えないことも。そんな時、心の中で「もう再構築はできない」と感じることもあるかもしれません。しかし、そんな絶望的におもえる状況に陥ったら焦ることなく下記の事を考えてみてください。

一時的な距離を置く

どうしても再構築ができないと思えたときは、一旦、距離を置くことも必要かも知れません。特に、夫婦関係における緊張や対立がエスカレートした際の一つの有効です。距離をとることで、双方が感情の高まりを鎮め、事態を客観的に捉え直す機会を持つことができます。

例えば、相手を責めるしかないと思っていても一旦距離をとることで、もっと効果的なアプローチをとれるように切り替えられるかもしれません。

カウンセリング

夫婦間の対立やコミュニケーションの困難は、双方の努力だけでは解決が難しいことがあります。このような場合、専門家のカウンセリングが有効な手段として考えられます。例えば、夫が仕事のストレスを持ち帰ってきて妻に当たってしまうケースを考えます。この状況下で、夫婦間の対話だけでは、夫のストレスの原因やそれに対する妻の感情などが適切に語られることは難しいかもしれません。

体験談『再構築できない夫婦が気づいたこと』

ここでは、夫婦やりなおし相談室にご相談いただいた方が、ブログ読者さんの参考になればと体験談を送っていただいたので紹介させていただきます。ぜひ参考にしてください。

会話がままならない

私たち夫婦の関係は、お金の管理や子供との関わり方など、さまざまな価値観が違っていて夫婦関係が悪化しました。結婚当初は仲が良かったのです。しかし、喧嘩も増え、それが始まると無視するのは当たり前で、普段から会話もままならない状態になりました。私は何とか再構築したいと思い、夫とに「もっとこうして欲しい」など自分の要望を伝えるようにしてきました。しかし、夫は私の努力に無関心で、歩み寄ることがありませんでした。
対話ができないイメージ

見方を間違えていた

このままでは再構築できないと思い、私は夫婦やりなおし相談室に相談することに決めました。そこでは「相手が変わることばかり願っていても、夫婦関係は変わりません。まずは自分が変わることも考える必要があります。相手の行動や考えは直接コントロールできないので、最初に自分に働きかけた方が、結果として夫婦関係に変化を及ぼしやすい」といったことを助言頂きました。
助言を受けることについてのイメージ

夫婦が気づいたこと

私はその言葉を受け止め、自分から変わることを決意しました。夫にあれこれ注文を付けたり、要望を伝えるのではなく、自分が夫の良き理解者になり、自分ができることをまずはしてみようとしました。夫への接し方を変え、積極的にコミュニケーションを取るようにも努めました。すると、夫も徐々に私の変化に気づき始めました。私の変化を見て、夫は自分に非があったことを認め「自分も変わろう」という意志を見せてくれるようになったのです。ようやくここで、夫婦ともに「相手に求めてばかりではダメだ」ということに気づきました。

以前の関係に戻れた

その後は、喧嘩が少なくなりました。結婚当初のような関係に再構築できたと思っています。これからも意見が食い違うことは多々あると思いますが、それでも以前と同じあやまちは繰り返さないと心に誓っています。
修復のイメージ

まとめ

今回は再構築できない夫婦が取り組むべきことについてお伝えしました。とるべき対応を1つずつ積み重ねてみてください。その他、具体的なノウハウについては夫婦関係修復ニュースレターで公開しています。下記のフォーよりご登録ください。

よくあるご質問

ここでは『再構築できない夫婦が取り組むべきこと』について、よくある質問をQ&A形式でお答えしていきます。

再構築はやっぱり無理

【Question】
夫との関係がここまで悪化してしまった以上、夫婦の再構築は無理だと思っています。これまで何度も話し合いを試みましたが、夫の性格や価値観はどうしようもないように思います。子育てに関する意見の相違や、家事分担の不公平感はこれからも続くでしょう。

私は夫を変えることはできないと思いました。むしろ、この先離婚した方がお互いに幸せになれるのではないかと最近は感じるように。でも、子どものことを考えると結論が出せずにいます。この先どう選択すべきか、迷ってしまっています。

【Answer】
夫婦関係の行き詰まりを感じ、長年の思いがこみ上げてくることがありますよね。これまで夫婦関係の改善に向けて様々な努力をしてこられたことがうかがえます。

確かに価値観や考えが合わないという点を一朝一夕に解決する事は難しいものです。自分とは合わない考えを持っていれば、例えば子育てをすると言っても、その足並みを揃えることも難しいですよね。(続きは音声でどうぞ)

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