家庭が息苦しいとは?

「家庭が息苦しい」というのは、家族関係や家庭環境が圧迫感や不快感をもたらす状況を指します。これは、家族間のコミュニケーションの欠如、過度の期待や制限、感情的なサポートの不足、または家庭内の対立や緊張が原因で生じることが多いです。

このような環境では、家族が自由に意見を表明したり、気持ちを伝合うなどのことが困難になり、精神的なストレスや不安を感じることがあります。息苦しい家庭環境は、心理的な負担を強いるため、改善のためにはコミュニケーションの改善や場合によってはカウンセリングなどのサポートが必要になることもあります。

心理学的解説

The suffocation model of marriageによれば、結婚の基本的な目的は時代と共に変わってきました。初期の頃は配偶者が経済的なニーズを満たすことでした。その後、親密さを育むこと。そして現代は自律性と自己成長を満たすためのものへと変化したのです。しかし、この変化はネガティブな結果をもたらしている側面もあります。そして、自己成長や自律性の欲求を満たすために、過剰に相手に期待してしまいそれが基準を満たさないと感じることで、逆に息苦しさや不満が高まっているというものです。
参考:The Suffocation Model

家庭が息苦しくなる原因

そもそもなぜ家庭が息苦しくなるのでしょうか?その原因についていくつか取り上げ解説します。
原因についての図解

すべき思考

臨床心理学者アルバート・エリスは英語のmust(しなければならない)を語源としてmusturbationなどと読んだり、心理療法家デビッド・バーンズは「should構文(すべき)」と呼んだりしています。「私は絶対に家事でミスをしてはいけない」とか「子供へは常に前向きに関わるべき」のような気持ちですね。この気持ちがあると、確かに、自己の向上には役立ちそうです。

「こうすべき」と考えて、向上心を持って臨むことは良いことだと思います。しかし、これが過剰になると、常に切羽詰まった感じになります。そして、他人にも、それを押しつけるようになると、お互い息を押し殺したような生活になったり、煙たがるような状態になります。

誰にとっても、これは辛いですよね。
すべき思考の弊害
なので、もし自分や他人に、過度に「こうすべき」という気持ちを持ちすぎているときは、少しゆとりを持たせることを考えみてくださいね。

心理学的解説

「すべき思考」というのは、自分なりの特定のルールに基づいて「ああすべき」、「こうすべき」ということを周囲に押しつけるということを指します。これは認知の歪みの1つです。
参考:“Should” Statements

プライバシーが欠如

家庭が息苦しくなる原因の1つに家庭におけるプライバシーの欠如が挙げられます。特に夫婦間での過度な干渉は、家庭環境を息苦しくます。例えば、妻が毎日夫の携帯を管理・チェックするなどの状況は夫が「監視されている」などの意識が芽生え、息苦しさに繋がります。夫婦関係においては、お互いの個人的な空間、時間、そして意見を尊重することが重要ですが、一方が他方の私生活に過度に干渉すると、信頼と尊重のバランスが崩れます。

夫婦関係が緊迫

夫婦関係の緊迫が、家庭の雰囲気を息苦しくする要因になることがあります。具体的には、夫婦間のコミュニケーションが断絶していたり、不和や対立が頻繁に発生しているなどの状況です。こういった状況があると、夫婦間で感情的な距離が拡大します。また、夫婦仲が悪くなると、家庭全体の雰囲気に影響を及ぼし、子供がいる場合、家庭内の緊張を感じ取ることがあります。

体験談『完璧主義で家庭が息苦しくなる』

今回は夫婦やりなおし相談室のアシスタント、森田の姉の事例を紹介します。参考になれば幸いです。

完ぺき主義の友人

姉は結婚前は秘書としてバリバリ働いていましたが、出産を機に専業主婦となり10年。何でもできる人なのでお料理も手の込んだものを綺麗な盛り付けで、家の中もいつもきれいにしています。子供の習い事、幼稚園や小学校の役員も務めていて、まわりのママ友からも頼りにされるとてもいいママです。ただ、彼女の中で外に出たい、働きたいという思いはずっとあるのだというのは友人として感じていました。

次第に家庭内が空気が変わる

完璧な専業主婦像をこなしてしまっている彼女は、ご主人にも完璧な夫像を求めていました。

「洗濯物はキチンとこの場所に置いて欲しい」、「子供の声かけは、もっと丁寧にすべき」など、夫にも完ぺきを求め、それを夫に押しつけてしまっていたのです。あまりにも「すべき」という要望を夫に押しつけていると、やはり家庭内が息苦しくなってしまうものです。いつからか少しずつ夫婦の溝ができてしまいました。

息苦しい家庭
ご主人に好きな人ができてしまったんです。

次第に家庭内では夫婦喧嘩が増えていきました。時には、それがエスカレートして、ご主人は手が出るようになったり、彼女の作った食事をぶちまけたり。彼女もひどい暴言や罵声を浴びせ、もう修復不可能なのではないかと考えるようになりました。

1年半後に離婚する?

子供は今、5年生です。

「中学に入学する1年半後を機に離婚しよう」ということになり、彼女は離婚後の生活を安定させるため、半年前から仕事に出ています。結婚前と同じ秘書の仕事です。

10年ぶりの仕事。家事や育児との両立に大忙しです。体力的にもかなりハードです。

突然、家庭内の息苦しさが改善

ところが、彼女が仕事に出ることで夫婦関係に変化が起こり始めているようです。久しぶりに届いた彼女からのメールにこんなことが書いてありました。

「秋になったら身体が重くて重くて。家事も仕事も億劫でさ。パパと息子に助けられて持ち直した」

「普段、夜は疲れて速攻熟睡だし、細かいこと気にするほど家にいないからパパ、ごめんよ。ありがとうって思えるの。以前より断然気持ちのよい関係が築けているよ。忙しい方がいいみたい」

仕事がキッカケで、家庭内の家事や子育ても全て完ぺきにこなすなどということが難しくなり、それがかえって家族の雰囲気を変えていったようです。

仕事と家庭

手を抜くことで息苦しさを改善

料理も出勤前に仕込んでおく煮込み料理が多くなったり、冷凍食品やレトルト食品も使うようになったそうです。

調理
お子さんが一人で習い事に行けるようになったり、宿題やお留守番も1人でできるようになったことも大きいようです。ご主人も彼女の経済的自立のため応援してくれ、お風呂掃除や食事の後片付けを手伝ってくれるように。

1年半後の離婚宣言をしている2人ですが、先日は親子3人で温泉旅行に行ってきたとお土産を届けてくれました。2人の間の罵り合いや、ご主人の暴力の話を聴いていたので1年半後の離婚もやむを得ないのかなと思っていましたが、いい意味でいろいろなことが緩んでいる気がします。

  • 専業主婦なんだからもっとこうしなければ
  • 夫はもっとこうあるべき

働きに出ることで自然とこれらを手放していった姉夫婦。1年半後の結果はわかりませんが、このままうまく夫婦関係が改善する道もあるのではと思えてなりません。

家庭が息苦しくなるときの改善法

ここでは、家庭が息苦しく感じてしまうときの改善方法について解説します。

すべき思考をストップ

家庭が息苦しくなる際に、自分のすべき思考を少しずつ緩めるようにしてください。自分自身や家族に対する厳しい期待や規範を和らげるということです。多くの場合、「~すべき」という思考はストレスや圧力の原因となり、自分や家族に無理な要求を課すことに。このような思考を「~だったら良いな」といった、より柔軟な考え方にシフトすることで、家庭内の緊張を軽減し、もっとリラックスした雰囲気を作り出せます。

例えば、「子供は常に良い成績を取るべき」という考えを「子供が自分のペースで学べたら良いな」と変えることで、子供への圧力が減りなどのことが考えられます。

自分の感情からリラックスさせる

家庭が息苦しくなる時に、自分の感情をリラックスさせる時間を持つことは非常に重要です。人の感情は伝染しやすいので、特に家庭内では一人の緊張やストレスが他の家族メンバーにも影響を及ぼすことがあります。自分がリラックスし、感情的に安定していると、その穏やかさが家庭環境に良い影響を与え、家族間の関係改善に役立ちます。

これには、瞑想、深呼吸、読書、散歩、趣味の時間など、自分自身を落ち着かせる様々なアクティビティに取り組んでみてください。定期的に自分をケアし、リフレッシュすることで、家庭内のストレスが減り、より健康的で安心感がある家庭環境を作り出すことができます。

家庭が息苦しいときの注意点

もし家庭が息苦しいときは、次の注意点を守って対策をおこなってください。注意点を守ることで、より効果的に進めることができます。

まずは自分の事から改善

まずは自分のことから改善することは家庭が息苦しいときの注意点として上げられます。自己の内面を見直し、「すべき思考」つまり家庭生活や人間関係において自分に課している期待や義務感を見直すようにしてください。

私たちは多くの場合、無意識のうちに周囲の人に対して「こうすべき」ということを思いがちです。しかし、それがかえってストレスや不満の原因になることがあります。そして、自分の事を改善するのは、今日からでも取り組めます。なので、最初に自分の事から始めてみてください。

大きな問題になる前に対処

家庭内が息苦しいというのは、小さな問題のように思えるかもしれません。しかし、こういったことが将来、離婚問題に発展するということも多々あります。そのため、できる限り早めに対処するようにしていきましょう。時間がかかるほど、問題が慢性化しやすいです。

まとめ

自分に対してだけでなく、他人に対しても「すべき」という思考が頻発するようになると家庭内は息苦しいものになっていきます。気をつけてください。その他、夫婦関係を改善するための様々なノウハウを公開した「夫婦関係修復ニュースレター」というものを発行しています。下記のフォームからメールアドレスをご登録いただければ、今なら無料購読できますので、今のうちにどうぞ。

よくあるご質問

ここでは『家庭が息苦しい』について、よくある質問をQ&A形式でお答えしていきます。

夫がイライラしていて家庭内の雰囲気が悪い

【Question】
最夫が常にイライラしています。仕事のストレスや日常生活の些細なことで怒りっぽいです。そのため、子供や私は家庭で落ち着いて過ごすことができず、息苦しく感じます。夫とは話し合いを試みましたが、それをしようとすると余計怒ってしまうという状態です。この状況を改善する方法について教えてください。

【Answer】
ご相談に心から感謝申し上げます。まず、現在夫との直接的な対話が難しい状態であるとのことですので、夫のイライラの原因について、可能な限り推測してみましょう。仕事のストレスが一因となっている可能性が高いですが、他にも健康状態や人間関係、未解決の夫婦間の問題などが影響している可能性もあります。これらの要素を理解しようとすることは、問題解決の第一歩です。その後は、その予想に基づいてできる事を取り組んでみてください。

関連記事

常に「こうすべき」という完ぺき主義があると、家庭内の息苦しさが増してしまいます。そして、それが離婚危機を招くということも現実に起こります。家庭内が息苦しくなっていないか?時々、確認してみてくださいね。さて、夫婦関係の修復についての関連記事をご紹介します。併せて読んでみてくださいね。

帰宅拒否症

帰宅しない場合
夫が家族との関わりを嫌がりなかなか自宅に帰ってこなくなる!?もし、そのような状態になっているのであれば、帰宅拒否症です。そこで、ここでは帰宅拒否症になっている夫にしてはいけないこと。逆にするべきことをくわしく解説します、詳細は下記より。

参考ページ:帰宅拒否症の夫。やってはいけないコトとやるべき事とは?

我慢を重ねる自分

口をつぐむ
夫に何か意見でもしようものなら、猛烈に反発されてしまうなどのことがあると、つい我慢を重ねてしまいますよね。言いたいことも言えなくなってしまいます。そこで、この口をつぐんでしまうような状態から、どう状況を改善していけばいいのか?詳しく解説します。

参考ページ:夫に言いたいことが言えない

夫と一緒にいるのがしんどい

旦那と一緒は苦しい
夫の態度が悪かったりすると、一緒にいるのも苦痛になってしまいますよね?このような時「ずっとこんな生活が続くのか?」と不安になってしまうと思います。そこで、このような夫婦関係を変えたるめに何をすれば良いのか?詳しくお伝えします。

参考ページ:夫との関係が苦痛で辛い