夫の思い込みが酷い

夫の思い込みが激しくて、話しが前に進まないということはありませんか ?

例えば「夫が一度、私が浮気してると思い込んだら、事実無根なのにずっとそうとしか思ってくれない」などのようなことです。1つの考えにとらわれることで、他の考えが出来なくなっていくことを固着と言います。この固着が起こると、話しがなかなか前に進まないですよね。

実際、イェール大学の心理学者Miller Norman教授は800人の学生に対して思い込みと偏見を測定するためのテストを実施して、高得点の人と、低得点の人とを集めました。

論文
出典: AmericanPsychologicalAssociation

そして「水飲み場をキレイにしよう」というスピーチを聞いて、その前後において、どの程度意見が変化をしたのか?ということを測定したのです。すると圧倒的に思い込みが強い人の方が、意見を変えないというデータが得られました。

実験データからのグラフ

このように、思い込みが激しいと、なかなか意見を変えてくれない、説得が難しいと言うことになります。しかし、たまたま夫や妻がこのようなタイプだった場合、どう会話や話し合いを進めれば良いのでしょうか?

ご相談者様ご相談者様

確かに夫が一度思い込んだら、いくら説明しても納得してくれず、ずっとこうだ…としか思ってくれなくて困るんですよね。夫の思い込みの激しさにどう対処すれば良いでしょうか?

夫の思い込みが激しい原因

実は『思い込み』にはいくつかのパターンがあり、専門的には『認知の歪み』と呼ばれています。認知の歪みのパターンは、精神科医アーロンベックや弟子のデビット・バーンズ氏らが体系化しましたが、いくつか例を挙げておきます。

相手の頭の中でどんなことが起こっているのか?少し覗いてみてください。

1.結論の飛躍

勝手にこちらの真意を誤解すること。例えば、あなたが「車で会社まで送っていこうか」と善意で伝えたら、そんなことこちらは全く思っていないのに、勝手に「あなたには、俺が浮気をしていると思っていて、それを監視するためにそのようなことを言うのだろう」のように極端な解釈をすること。
結論の飛躍のマンガ解説

2.いきすぎた一般化

過去に何度かあったから…ということで「いつもこうだ」のように解釈してしまうことです。例えば、あなたがご主人の約束を忘れてしまって失敗したということが過去に数回あったとします。しかし、ご主人が「いつもあなたは私との約束を守らない」のように過度な解釈をしてしまうことです。本当はいつもではないのに。
いきすぎた一般化のマンガ解説

3.心のフィルター

良いことも悪いこともあるのに、悪いことしか受け取らない状態です。例えば、あなたがご主人に対して「子育ての方法」について相談したとします。すると、夫はあなたの子育ての不出来な部分ばかりに注目して、良い点に注目しません。そして「どうしてこんなに酷いのだ」というように、マイナス点ばかり取り上げます。
心のフィルターのマンガ解説
以上、他にもいろいろな認知の歪みのパターンはあります。まずはこういった様々な誤解、思い込みの仕方があるのだなと認識した上で、次は「夫の思い込みが激しいことで苦労した」という方の体験談をご紹介します。

体験談『夫の思い込みが激しくて苦労』

私が主宰する「夫婦やりなおし相談室」には、夫の思い込みで苦労した、ご相談者様がいます。その方がブログ読者のために、体験談を送ってくれたので、ここでご紹介させて頂きます。

幼少期の経験が「思い込み」に影響?

私の夫は思い込みの激しい人でとても困った経験があります。

夫は人に対して不信感を持っている人でした。彼が小さい頃、実母が恋人を作り家庭が崩壊した経験をしていたため、彼には「人は信用できない」「女性は裏切る」という信念に似た思い込みがありました。

人に対しての不信感

人の好き嫌いが激しく、第一印象で相手のすべてを判断するため人付き合いも苦手な人でした。相手の違う面を伝えようとしてもなかなか聞き入れないため、家族ぐるみでお付き合いするような人はほとんどいませんでした。

また、夫婦関係においても、「妻とはこうあるべき」「母親とはこういうもの」という考えを持っているため、自由に自分らしく生きることを重要視する私とはぶつかることも多かったです。

夫の思い込みで苦労

夫の思い込みで、ぶつかった例としてこんなことがありましたし。

おしゃれが好きな私は下着のタイプをその時の気分でガラッと変えることがあります。

そんな時、ただ楽しんでいる私を見て夫は不機嫌になりました。夫には「女性は恋人ができると服装、特に下着が変わる」という思い込みがあったからです。そんな夫だったので、服や下着を購入するときは気を使いました。

夫が「二番がいる?」と思い込む

また、他にも夫の思い込みで苦労したことがあります。

私は深く考えもせず「やっぱりあなたが一番だわ」と言ったことがあります。私からすればその時は他の誰と比べたと言う訳でなく、単純に「過去のどの男性より前夫が一番」「いつもありがとう」という意味を込めたつもりでした。

けれど彼にとっては「僕が一番なら二番は誰なの?」となるようで、いらぬ不安を与えてしまいました。この不注意な発言で喧嘩をしたことはないのですが、夫の心には深く刻み込まれ、その後も再三、このことを蒸し返されてしまいます。

同じように思い込みが激しいご主人を持った方は、ご主人のNGワードを把握して発言にはくれぐれもお気を付けください。何気ない一言が後々まで尾を引く可能性があります。

夫の思い込みが激しくならないための予防策

相手が一度思い込んでしまったら、そこからなかなか抜け出せない。そういうことがあると、話しが前に進まないですし、相手からずっと悪く思われている等の弊害も続いてしまいます。このような場合、出来ることの1つは予防です。相手が思い込みが激しい性格だ…ということは、夫婦なら、ある程度事前に把握していると思います。

なので、そういう傾向が強いなら、話しをする段階で、相手に思い込みをさせないようまずは予防を心がけることが大切です。
予防についての図解

早期に別パターンを提示

多くの場合、思い込む人にはその前兆があるとされています。例えば、夫が新しい家電を購入するとい場面を想定します。そのとき、次のようなサインがあれば要注意です。

  • 特定のブランドや商品にこだわりをみせ始める
  • 比較検討はせず、感情的に決めている
  • 他の選択肢のメリットに耳を貸そうとしない

このような兆候が見られればできる限り早い段階で、積極的に複数の選択肢やそのメリットを提示します。例えば、次のように伝えることができるかもしれません。

  • この商品もインターネットで評判がよさそうだよ
  • この機能は便利そうだから、こちらも候補に入れてみたら?

このようにできる限り早い段階で行うと、夫の思い込みが固まる前に、他の選択肢への関心を引き出す機会となります。

真意セット法で防ぐ

何か意見をするときには、真意セット法を使うこともできます。具体的には、自分が相手に意見するときには必ず真意をセットで伝えるようにする、というものです。

これはどのようにするのかというと「私は、転職した方が良いと思う。でも、それはあなたが今の仕事に向いていないという理由でそう伝えているのではなく、あなたの能力ならもっと今より条件の良いところで働けると思っているから伝えているのだ」という具合です。

パターン化すると、「Aという意見を伝えたのは、Bという意図からではなく、Cという意図から伝えているのだ」という要領です。

このようにある程度、誤解を生じさせてしまいそうな時は、きちんと真意をセットで伝えるようにしてきましょう。

しかし、そのように注意していても、誤解をされてしまうということを100%防ぐことは出来ません。既に誤解されて、相手が絶対にそうに違いないと思い込んでいる場合、どうすれば良いのでしょうか?

「思い込み」が起こった時の対策

予防を万全を尽くしたとしても、100%夫の思い込みを防ぐことは出来ません。

そこで、相手が一度、思い込んでしまった場合、出来ることとしてはその話題は一旦、終わりにするという方法です。別の話題に切り替えた後で、またその本題に戻す、というように進めていきます。

実証

話を一旦終わりにした方が良いという根拠の1つは次の実験によるものです。

テキサスA&M大学Steven M. Smith博士は、大学生を対象に2つの単語を見て、その単語から連想される共通の単語を見つけるという実験を行いました。例えば、FoodとHotという単語を見ます。そして、例えばDog FoodとHot Dogのように共通した単語を見つけられるので答えはDogというように進めます。

このような実験を行っていると、次第に固着が起こります。「Dog Hood」と「Hot Dog」という答えが1つ見つかると、もうそこから考えを切り替えることが出来ず、もうそれしか連想できなくなるという状態です。
思い込みの図解
そして、こういう状態からどう脱すれば良いのか?ということですが、やったことは単純で5分間の休憩を取る、というものです。この休憩を取るだけで、その後、同じテストに戻れば、正答率が41%も上昇したというのです。

このようにわずかでも良いので、休息を入れることは、相手の思い込みを脱するためにとても有効です。そこで、会話中、相手が完全に悪く思い込んでしまったと察したら、早めに一旦、その話しをおしまいにしていきましょう。

思い込みに対して不適切な対応は?

ここでは夫の思い込みが激しいとき、とってはいけない行動や不適切な対応についてお伝えします。

1.繰り返しの説明や否定

悪いパターンとしては「それは思い込みだ、違うのだ」と説明をしつこく続けてしまうことです。思い込みが激しくない相手なら、それも妥当かもしれません。

しかし、そうでないなら、説明をしつこく続ければ続けるほど相手の不信感が増し、状況は悪化していくことが多くなります。
思い込みの図解
なので、思い切って無理な弁解はせず、一旦話題を変えてみてください。その後で再度、話しを再開してみてください。

2.嘘をついてしまう

相手の思い込みを払拭しようと躍起になるあまり、嘘をついてしまうことは状況を悪くしてしまいます。もし、それが嘘だとばれてしまうと慢性的な思い込みを招いてしまうからです。こらちも相手の思い込みをなくそうとムキになりすぎないように注意してください。

まとめ

今回は、相手が思い込みをしていて、話しが前に進まなかった場合の予防と対処法についてお伝えしました。今回紹介した方法だけで、万事OKとはならないと思いますが、いくらかでも参考になれば幸いです。その他、様々なテクニックについて、下記のニュースレターで紹介しています。ブログでは書ききれなかった内容をお伝えしていますので参考にしてください。

よくあるご質問

ここでは『夫の思い込みが激しい』について、よくある質問をQ&A形式でお答えしていきます。

思い込みが激しいので離婚を考える

【Question】
夫が思い込みが激しく、離婚を考えています。こちらが「こういう事情があったんだよ」と説明しても、旦那が勝手に解釈を変えてしまうので会話があまり成立しません。私も面倒なので会話を避けがちです。どうすれば良いですか?

【Answer】
確かに、相手の思い込みが激しくて、こちらの発言を勝手に解釈されてしまうと、会話が成立もしない上、夫婦喧嘩の元にもなってしまいますよね。そのため、イライラしてしまうことも多々あるのではないでしょうか?

何度もこういったことを繰り返すのであれば、離婚を考えるのも無理がないと思います。ただ、対策のしようはあります。続きは下記の音声で。

夫の勘違いが多い

【Question】
夫の勘違いが多くて、家族がそれに振り回されてしまいます。例えば先日は、夫が旅行先のホテルを金曜日の晩にとったといっていたのに、実際に予約を入れているのは土曜日でした。こういうことが再三あります。夫も自覚はしていると思うのですが、なかなか改善されることもありません。どうすればいいでしょうか。

【Answer】
ご主人の勘違いが頻繁で、トラブルが多いと言うことだと大変ですよね。ただ、ご主人本人もこのことはある程度自覚しているのではないか?ということですので、まずは本人に「大事なことは2度確認する」などのように、いくつか手勘違いをなくためるのコツを一緒に考えてみてはどうでしょうか?

例えば「大事なことは2度確認する。家族全体に関わることについては、私も確認する」というようにルールを決めておくというのは1つできることではないかと思います。

もちろん、完全に勘違いをなくすことは現実的ではないですが、それを半分にでも減らせないかいくつかの方法を試してみてください。

一度思い込むと、頑なに考えを変えない

【Question】
私の夫はとても思い込みが強く、一度ある考えに固執するとなかなかそこから変えようとしません。例えば、ある商品を買う時、最初に見つけた商品をベストだと決めつけて、他の商品を比較検討することもしません。私が別の商品を提案しても、聞く耳を持ちません。

夫のこの思い込みはとてもストレスです。合理的に考え、柔軟に意見を変えることができないのです。プライドが影響しているのでしょうか?夫の考え方を少しずつ変えていく必要があると思います。どのように対応したらいいでしょうか。

【Answer】
夫の性格は一朝一夕に変えられるものではありませんが、自分の努力で少しずつ変化を促すことは可能です。夫の長所を認めつつ、自分の意見も丁寧に繰り返し伝えることが大切です。

例えば、このような固執する傾向はストレスに感じられる一方で、一度決めたことには責任を持って臨むなどの長所もあると思います。その長所を認めつつ、自分の意見も伝えていくことが大切です。

もちろん、それでもすぐに相手が変わるとはいえませんが、上記以外にも複数のアプローチが必要かも知れませんが、とっかかりとして上記の対応をとってみてください。

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