単身赴任が一見すると、仕事の成功や収入アップにつながるという選択肢のように思えます。しかし、反面、単身赴任が原因で家族崩壊を引き起こしてしまうということもあります。特にそれが長期化すると悪影響を及ぼすことにつながりやすいです。そこで今回は、その理由や背景、解決方法などについて解説していきます。

単身赴任による家族崩壊の危険性とは

単身赴任とは、仕事のために住んでいる地域以外で家族と別居して生活することを指します。このような生活スタイルは一般企業でも公務員でもよくみられます。

単身赴任では、勤務手当や住居手当が支給されることも多いため経済的なメリットがある一方、家族に負担を強いることになるので家族崩壊のリスクを含んでいます。例えば「夫婦間のコミュニケーションが希薄になることで崩壊につながる」、「夫が帰宅することがなくなり、崩壊リスクを高める」などのことです。

リスクについての図解

単身赴任が家族崩壊を引き起こす理由

会社の都合で単身赴任になったものの、その後、家族が崩壊してしまうとううことは時々起こります。しかしも、もちろん、転勤が決まったからといって必ずそうなるわけでもありません。そこで、ここでは単身赴任が家族崩壊を引き起こす理由について取り上げ解説します。典型的なものを把握しておいてください。
理由についての図解

物理的距離の影響

単身赴任によって、家族との物理的距離が生まれます。この距離が夫婦間や親子間のコミュニケーションを減らすことにつながり、関係を希薄化させることになります。もちろん、Lineや電話などとれる連絡手段は複数あると思いますが、対面で顔をあわせる機会が減ることは家族崩壊のリスクを高めます。

不貞のリスク

単身赴任によって夫婦の関係性が希薄になり、そのまま不貞につながるリスクがあります。単身赴任のため、心理的に孤独を感じていたという点もあり不貞が進行しやすい背景があります。このような場合、家族崩壊につながりやすいです。

長期間の別居

単身赴任が長期化することでお互いの負担が増し、ストレス増加につながります。例えば、妻は家事や育児を1人でこなすことになるりますし、子供は父親の存在を感じにくいなどの心理的な負担も生じます。このように単身赴任が長期化すると、家族崩壊のリスクを高めやすいといえます。

また、単身赴任が長期化することによって、同居にも戻るハードルが上がると言うこともあります。既に一人暮らしに慣れてしまった夫が、自宅に戻ることが居場所がないと感じたり、生活スタイルに大きな変更が伴うのでそれが負担に感じる、などのことが挙げられます。

心理学的解説

日本企業で働く単身赴任者と配偶者を対象におこなわれた調査では、単身赴任により孤独感が増し、ストレスが増大することを指摘しています。また、長期の単身赴任や、配偶者が仕事を持っていない場合などは、家族崩壊や負担増になるリスクが高まります。
参考:Expatriate Family Adjustment – Frontiers in Psychology

単身赴任が家族崩壊につながる前兆

単身赴任により突然、家族崩壊が起こる訳ではありません。いくつか前兆があります。そこでここでは、その前兆と言える部分をいくつか取り上げます。
前兆についての図解

コミュニケーションの減少

単身赴任が始まることで、家族間でのコミュニケーションが減ります。この場合、家族崩壊の1つの前兆と言えます。もちろん、メールやLineなどで補足することはできるものの、感情の共有などが減ることでコミュニケーションの質が下がりがちです。

帰宅頻度の低下

夫が自宅に戻ってくる頻度が低下するというのは、家族崩壊の前兆です。最初の内はそれでも帰宅を促すよう声をかければ、なんとか頻度を維持できる事も多いのですが、次第に帰宅を拒絶するようになるとリスクが高まっていると考えてください。

ストレス・疲労の増加

お互い離れて暮らすことにより、仕事や生活のストレスが増えることがあります。離れて暮らしているので協力を求めることができなかったり、孤独感が強くなったりします。例えば、妻は子供のことを1人で対応しなければいけませんし、夫も仕事が忙しい上に家事の負担が出てくるなどのことがあります。こういったストレスが家族崩壊の前兆となります。下地としてこのように不満がお互いに溜まっているということが、背景としてあります。

経済的負担

時には経済的な負担が増すことにより、精神的な疲労感が強くなることがあります。単身赴任に伴う手当以上に、家計に与えるマイナスの要因が多くなると「何のために単身赴任をしているのか」と疑問に感じるようになり、それが相手に対しての不満につながることがあります。

家族崩壊を避けるための単身赴任前の準備

家族崩壊を避けるために、単身赴前にできることがあります。まだ、単身赴任前だと言う人はこの項目を参考に予防策を立てていください。

家族の気持ちを知る

事前に家族が単身赴任に対してどのような不安があるのが、全て聞き取っておくことが大切です。そして、それを少しでも軽減できる方法を検討します。直接、話しを聴くことは予防策を考える上で非常に重要です。
気持ちを知る事について

家族サポート体制

単身赴任前の段階であれば、家族のサポート体制を整えるよう準備します。例えば、家事や子育てのサポートできる人を探しておくなどが該当します。こうすることで生活の負担歩を減らしコミュニケーションをとる時間を確保するようにします。

コミュニケーション手段の確保

事前にどのようなコミュニケーション手段をとるか決めておきます。例えば、電話やメール、ビデオ電話、帰宅日などが該当します。お互いがとりやすい連絡方法をとることで、単身赴任中の心理的距離が離れてしまうことを予防できます。

家族崩壊から立ち直るためにできること

家族崩壊から修復していくためにできることがあります。そこで以下に代表的なものを挙げておきます。ただはここで挙げたもの以外でも個々にできることはありますので、下記の項目をみて「できる事はない」と早とちりしないようにしてください。

自分の健康管理

家族崩壊から立ち直るためには、自分の精神的な健康を維持することが大切です。例えば、定期的な運度や食事、睡眠時間の確保などです。生活のベースとなるような事柄なので、まずはこれらのことを整えることを検討してください。
健康管理のイメージ

様子を知る

具体的に行動するためには、まずは状況を把握することが大切です。相手は今どのような気持ちなのか?結婚生活を続けていく意思があるのか?離婚したいのであれば、その気持ちはどの程度強いのか?など把握しておくべき事は色々あります。これらの情報を元にどんな行動をとるのかを今後、決めていくことになります。

コミュニケーションの回復

家族崩壊から再起するためには、何かの形でコミュニケーションを確保していく必要があります。例えば、手紙を送るようにする、電話連絡をするようにするなど、個々によってどこからはじめれば良いのかは変わってきますがコミュニケーションを再開していくことが必須です。

体験談『家族崩壊後、私がとった行動』

ここでは、夫婦やりなおし相談室にご相談いただいた方から、ブログ読者さんのお役に立てればと言うことで体験談を送ってもらったので、ご紹介させていただきます。単身赴任のリスクや対応など、参考になれば幸いです。

単身赴任になり、生活が変化

夫が仕事で遠隔地に赴任することになったとき生活は一変しました。最初は頻繁に連絡を取り合い、近況や子供の様子など伝えていました。しかし、時間が経つにつれて、夫からの電話やメッセージがだんだんと少なくなっていきたんです。

離婚したいと言われる

私は夫が忙しいだけだと自分に言い聞かせ、増大する不安を抑えようとしていました。しかし、夫から離婚したいという衝撃的なメッセージが届きました。混乱して私は、すぐに夫の赴任先まで話し合いに行きました。しかし、激しい口論に発展し、夫はもう家に戻りたくないと言う始末。その後は、帰省することはもちろんなくなり、連絡さえ取れなくなりました。もう家族が崩壊したと思い、私の心はズタボロでした。しかし、なんとかならないかと思い私は傷心のまま、夫婦やり直し相談室に相談しました。

夫の気持ちを知る

そこでは、精神的健康を優先することの重要性と、このようなデリケートな話し合いを進める適切なステップについて学びました。新たな気持ちで私は、再び夫に連絡を取り、今度は落ち着いて理解のある態度で話し合いができたと思います。その話し合いの中で、夫は自分が単なるATMとして見られていると感じているという不満を明かしました。私はそうではないと言うことを告げましたが、結局話し合いでは平行線。しかし、自分の今後の行動の取り方を考えさせられました。

小まめに連絡

夫婦関係を修復するために、私は夫との連絡を意識的にとるようにし、相談室で言われたとおり「いつも気にかけているよ」という主旨のメッセージを様々なバリエーションで送るようにしましたし。単身赴任なので、同居しているときほど簡単にコミュニケーションはとれないので、質を大切にして文面も毎回、吟味しました。最近では離婚についての話はなくなりました。夫の単身赴任は続いていますが、今後も言われた注意点に気をつけて、夫との信頼関係を築いていきたいと思います。

まとめ

今回は単身赴任が家族崩壊につながる理由や背景、解決策などについてお伝えしてきました。その他、単身赴任からの夫婦関係を修復するための方法については下記のニュースレターでお伝えしています。無料購読できる今のうちに下記のフォームからご登録ください。

よくあるご質問

ここでは『単身赴任による家族崩壊』について、よくある質問をQ&A形式でお答えしていきます。

予防策としてできる事は他にある?

【Question】
どうにか家族崩壊は避けたいです。予防策としてできる事はありますか?

【Answer】
やはり定期的な帰省、あるいは家族旅行の計画を立てるなど対面での時間確保は大切です。また今回の記事で取り上げたとおり、家具祖を支えるサポート体制などを整えることも考えてください。

連絡が無い

【Question】
単身赴任をしている夫から連絡が無いです。このままだと、家族崩壊してしまいそうです。どうすれば良いでしょうか。

【Answer】
一定期間、相手から連絡がないと言うことだと、心配も募りますよね。ただ、病気になっているなどのことも考えられるので、再度、予告した上で単身赴任先に行くのはどうでしょうか。場合によっては会社に連絡をしてみるということも考えられると思います。どちらにしても、理由は夫婦関係や家族観の問題とも限らないので、一度、単身赴任先に訪問することが妥当です。

関連記事

ここで『単身赴任による家族崩壊』に関して関連記事をご紹介します。併せて読んで頂くことで、より知識を深めていただけます。

単身赴任先から戻らない

夫が戻らないことに関する記事
夫が単身赴任先からなかなか自宅に戻ってこないということがあります。このような場合、どう声をかけたり、帰宅を促せば良いのか。詳細は下記よりどうぞ。

参考ページ:夫が単身赴任先から帰ってこない

気持ちが離れる

気持ちが離れてしまうことについての記事
単身赴任が長期化するなどのことで、気持ちが離れてしまうということがあります。その場合の対策などについて解説します。

参考ページ:単身赴任で夫婦の気持ちが離れてしまう

夫との関係改善

単身赴任後の夫婦関係修復についての記事
夫とは単身赴任をしているものの、どうにか夫婦関係を修復したいということがあります。その場合の方法について解説します。

参考ページ:単身赴任している夫と夫婦関係を修復

単身赴任の憂鬱

憂鬱に関しての記事
単身赴任が決まってしまい憂鬱だということはありませんか。そういった不安などに備えるためのポイントをお伝えします。

参考ページ:単身赴任が決まって憂鬱で不安

家族崩壊からの修復

家族崩壊についての記事
家族崩壊の危機から、修復するためにはどのようなことに取り組めば良いのか?詳細は下記の記事でどうぞ。

参考ページ:家族崩壊からどう修復すれば?基本事項やポイントなど解説

単身赴任による不仲

夫婦不仲の記事
単身赴任になり、夫婦仲が悪くなるということがあります。そのような場合、対策や注意点としてどのようなことがあるのでしょうか。詳細は下記よりどうぞ。

参考ページ:単身赴任をして夫婦仲が悪い時はどうすれば良い?