別居を引き留めて夫婦関係が後退
ご主人が「もう出て行く!別居だ」と伝えてきたとき、どうしても「いいや、出て行ってはいけない」と引き留めて、もめてしまうことがあります。
しかし、このような別居を引き留める行為が、あまり上手くいくことはないですよね?引き留めようと思っても、余計、対立が激しくなってしまうことが多いものです。そこで、今回は、上手な別居の引き留め方についてお伝えします。
ウチも別居する、しないで散々揉めています。引き留めるにはどうすれば良いですか?
間違った別居の引き留め方
別居の引き留め方を間違えると、夫婦関係が後退する、離婚問題にエスカレートするなど様々な問題が生じます。ここでは、間違った別居の引き留め方の一例を紹介したいと思います。
1.別居だけに注目する
別居する、あるいはしないということで、意見が分かれ、それを説得することばかりに目がいってしまうことがあります。次第に、暴言や失言が多くなり、相手のことを傷つけ、結果として感情的にエスカレートしてしまいます。こうなると夫婦関係が悪化します。
2.強制的な伝え方
別居するしない、ということが話題になっているとき、「絶対に別居はゆるさない」のように、相手を強制するような伝え方をする場合、状況は悪化します。強制的なメッセージの伝え方は、効果がないばかりか、離婚問題に発展してしまうほど状況を悪くする事も多いので気を付けてください。
3.安易に他人を介入させる
相手が別居の意思を変えないからと言うことで、安易に他人に相談する、あるいは介入してもらうということをしてしまうことは状況を悪くします。話しが次第に広がり夫が友人や親、あるいは弁護士などに話しが言ってしまい、問題がどんどん大きくなってしまい、相手の別居の意思はさらに頑なになっていきます。このように問題が大きくなってしまうと、夫婦関係を元に戻すことは、より困難になっていきます。
別居を引き留める鍵はリアクタンス
別居を引き留めたいという場合、通常、「あなたは出て行ってはいけない」、「別居してはいけない」という具合に、相手の行動について指示的、強制的にメッセージを伝えることはあまり適切ではありません。ご主人に対して、ああしなければいけない、あなたはこうするのが良い、という具合に、伝えていくとそれ自体が反発の対象になるからです。
このことを「リアクタンス」と呼んでいます。
これはSharon S. BrehmとJack W. Brehmが唱えた理論で、例えば分かりやすい例としては子供が親から「勉強しなさい」などと言われる場面で発生します。「勉強しなさい」といわれると「勉強しない」という行動に出ることが多くなってしまいますよね。自分の自由を制限されることで、その自由を取り戻すための作用がリアクタンスです。
リアクタンスについてはの詳細は下記の書籍『Psychological Reactance』などを参考にしてください。
リアクタンスの影響は大きい
リアクタンスについては「不倫相手と別れさせる」などの時にも非常に重要な概念です。強制的な方法でやればやるほど、状況は悪化するからです。もし、不倫相手と別れさせる際の注意点も確認しておきたいと思ったら、下記の記事もお役に立てると思います。
効果的に別居を引き留めるメッセージ
別居する/しないということで、夫と揉める場合、リアクタンスから考えると「別居してはいけない」のように伝える事は適切とは言えません。
そこで、メッセージのトーンを落としましょう。例えば「私は出て行かれると辛い」という具合に、自分の気持ちを伝える、と言うようにまずはシフトさせてみてはどうでしょうか?「あなたがこうしてほしい」「あなたはこうするべきだ」のように伝わるよりは、「私はこう思う」「私はこのままいて欲しいと思う」というように、自分の希望や気持ちを伝えていく方が、強制性がないので適切です。
これはアイメッセージと呼ばれているもので主語が「私は~」になっていることがポイントです。逆に指示的・強制的なメッセージは「あなたは」が主語になっていると思います。このように「あなた」が主語になると、リアクタンスを引き起こしやすくなるのです。
具体的なメッセージ例
では、実際にアイメッセージで、別居を引き留める具体的なフレーズをいくつか紹介したいと思います。
1.気持ちを表現する
自分の気持ちや感情を表現するパターンです。私はこのように感じているので、別居をやめて欲しいと言うことを伝えていきます。例えばこのようなメッセージです。
例.私はあなたと別居する事を悲しいと思っている。もう一度、考え直してもらえないかな?
「私は悲しいと思っている」、「私はあなたの発言を聴いて辛い気持ちになっている」など、自分の感情を率直に相手に伝えていきます。しかし、注意点としては「あなたのことを腹立たしいと感じている」というようには伝えないようにしていきましょう。これは「自分の感情を率直に伝える」ということを利用して、相手のことを批判しているだけだからです。このような攻撃的なメッセージは問題をより複雑にしてしまうことになります。
2.考えを表現する
感情を表現するのではなく、私の考えを伝えていきます。そうする事によって別居を避けてもらう事を提案します。例えばこのようなメッセージです。
例.私は別居する事で問題を先送りすることは適切ではないと思っています。もう一度、考えてもらえませんか?
「私は合理的ではないと考えている」、「私はもっと別の方法が妥当だと思っている」というように、自分の考えを整理して相手に伝えていきます。考えを伝えるというのは、相手の感情を沈静化させていく作用もあります。というのも、感情と理性というのはたいてい反比例の関係にあるからです。
別居を引き留める際の注意点
ここでは、別居を引き留める上での注意点についてお伝えします。
1.メッセージはポイントを絞る
相手を引き留めたいと思ったら、焦りからいろいろなメッセージをたくさん伝えてしまいそうになります。しかし、それは逆効果になることが多々あります。
ですので、メッセージの内容はしっきり絞った上で伝えていきましょう。実際、ジャクソンビル州立大学Bitgood博士が行った実験では、シンプルにポイントを絞った方が相手に注目してもらえる事が判明しています。
出典:SAGEjournals
博士はエジプトミイラ展に訪れた日手を対象に150文字ほどのやや長めのパネルと、50文字程度のポイントに絞ったパネルを用意しました。すると長いパネルの前で止まった人とは12.3%。ポイントを絞った短いパネルだと26.4%でした。
相手が「別居を引き留めるメッセージなど聞きたくない」と思っているとき、特にこちらは伝えるポイントを絞ることが肝心です。
2.過度な不安は禁物
「将来、離婚になってしまうのではないか」などの不安を過度に持っていると、そのことは相手に伝わってしまいますよね。そうなると、説得力は大きく減少することが多いので注意してください。
仮に別居になってしまったとしても、それが同時に離婚と直結するわけではありません。ですので、別居を思いとどまるよう最善は尽くしますが、それでも「そうなってしまったときは、また同居に戻すようにできることをすれば良いのだ」という開き直りも必要です。
引き留めても別居になりそうなとき
別居を引き留めるために最善を尽くしたとしても、それでも相手が強引に出て行ってしまうということもあります。その場合は、別居する/しないと言うことで対峙するよりも、今後、別居からどう夫婦関係を改善していくのかということに切り替えていくことも大切です。
というのも、別居する/しないということで揉め続けてしまうと、それだけ夫婦関係を後退させてしまうことになるからです。ここは見極めが必要ですが、もしお悩みの場合は、このページから登録できるニュースレターなども参考にしてみてください。
まとめ
「あなた」ということを主語にするのではなく「私」というのを主語にして、別居を引き留めるメッセージを伝えるようにしてみてください。また、全体として「あなたの意思も尊重しているよ」という配慮が必要です。そうすることで、リアクタンスを無闇に起こさないように注意していきましょう。
もちろん、状況によっては、「もっと強く相手の別居に対して反対の意思を伝えたい」と言うときもあります。しかし、強制的な発言が多くなると、夫婦関係は次第に後退し、相手の反発を安易に導く結果にもなってしまいます。別居を引き留める際にはこのことについて慎重に考えてから進めてみてください。
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よくあるご質問
ここでは『別居を引き留めるメッセージの効果的な伝え方』について、よくある質問をQ&A形式でお答えしていきます。
妻から別居したいと言われた
【Question】
妻から別居したいと言われました。このままだと一方的に家を出ていってしまうのではないか?と心配です。どうすれば良いでしょうか?男巻く引き留めることは出来ないでしょうか。
【Answer】
状況によって出来ることは様々ですがまずは奥さまの別居をしたいと思っている理由を尋ねてみましょう。その理由が分かることで、別居を思い留まらせることが出来ると言うこともあります。
ただもちろん、理由になっていることを解決したからといっても、相手が別居の意思が固いと言うこともあります。その場合は「一旦保留にして、時間を空けて欲しい」などのことも伝えてみて下さい。即座に出て行かれるよりは、出来ることが増えると思います。
別居か離婚かで悩む夫
【Question】
夫が別居か離婚かで悩んでいるようです。どちらも引き留めたいと思っているのですが、どうすれば良いでしょうか?別居も離婚もしたくないということを伝えても大丈夫ですか。
【Answer】
あまり「別居をも離婚もしない」ということを繰り返し告げると、相手としても反対されたが故に、意地でもどちらかを実現しようという気持ちにもなってしまいますよね。
相手から尋ねられた場合、ソフトな形でそれに対して反対の気持ちを示すことは問題がない事もおおいですが、あまり繰り返しこのことを告げてしまうと逆効果になる事があるので注意してください。
別居したい夫の心理や潜在意識で感じていること
【Question】
最近、夫が別居をしたいといっています。なんとか引き留めたいのですが、別居したい夫の心理や潜在意識で感じていることはどのようなことなのでしょうか。
【Answer】
人がどういう心理で別居したいと思っているのかは様々ですが、例を挙げるとすはれ次のようなことがあります。1つは逃避願望です。今の家族との問題から逃避したい、責任を回避したいといった心理が働いている場合があります。これは典型的なパターンだと思います。
また、自由を求めたいという欲求があることも多いです。これは結婚生活に縛られた感じがして、自由を手に入れたいと感じているということです。その他、対立関係に疲れたというのも単純にあると思います。たとえば、長期にわたって夫婦間の対立や争い、不満が積み重なると、もうそれ以上は耐えられないと感じている場合もあります。これも非常に典型的な例だといえます。
修復したい自分にも、別居のメリットはありますか?
【Question】
旦那が別居の意志が固いです。何か別居をすることにメリットというのはあるでしょうか?旦那は、自分が自由に過ごせると思うので、メリットはあると思うのまですが、このままだと離婚になりそうで、私には何も良い点がないように思います。
【Answer】
夫婦関係を修復したいと思っている人にとっても、別居はいくつかの点デメリットはあります。例えば、距離を置くことで冷静になれるという点が挙げられます。一時的に相手から距離を置くことで、感情を冷静さをとり戻したり、物事を考え直す時間にもつながります。
また、お互いの欠点や問題点を再認識するということも挙げられます。別居することで、自分の欠点や問題点を客観的に見つめなおす機会になり、問題の根本的な原因を特定することができるかもしれません。
ただし、別居すれば必ずメリットになるというよりは、「大変な中でも、どうにプラスのことを作り出していこう」という気持ちで臨むことが何より大切です。
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参考ページ:別居を回避する5つの方法
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参考ページ:一方的に別居されそう!理由や問題点、対処方法など解説
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別居になるのには、いくつかのキッカケがあります。そこでこの点を整理して一通り解説します。どのようなパターンがあるのかを確認してください。
参考ページ:別居になった、きっかけは何?