結婚生活を送っていると、人生で何度か危機がやってきます。そのような状態に陥ったとき、どう乗り越えれば良いのでしょうか。そこでここでは、夫婦の危機がいつ頃やってくるのか?そして、それにどう対応すれば良いのかと言ったことについて解説します。

夫婦の危機とは?

夫婦の危機とは、結婚生活において重大な問題や不和が発生し今後、結婚生活を続けていくことに困難が生じたり、疑問符が付く状態を指します。夫婦の危機は、心理的距離が遠くなったり、信頼を失ったり、コミュニケーションが極端に不足したり、経済的困難などが原因なり引き起こされることが多いです。

もちろん、これらの要因が複数同時に発生することもあります。また、危機は一過性の場合もあれば、長期にわたる慢性的な状態までさまさまです。どちらにしても、何らかの手を打たなければ、別居や離婚につながる可能性があります。

夫婦の危機を招く原因

ここではなぜ夫婦が危機に陥ってしまうのか。その原因は複数ありますが、典型的なものについて詳しくお伝えします。

心理的距離が生まれる

心理的距離とは、夫婦関係で感じる親しみや相手に対しての興味・関心が遠のいてしまう状態を指します。この状態では、一方または両方が相手に対して以前ほどの親密さや絆が感じられなくなります。

気持ちが離れることの図解
例えば、以前は週末ごとに夫婦の共有時間をとっていたけれど、その後、お互いの趣味や友人、仕事などを優先するようになり、2人きりの時間が減少するなどのことが表面的にあらわれます。また、結婚生活で起こる日常が単調になり、お互いを「当たり前」だと感じ、相手のことを思いやれなくなるなどのこともあります。このような状況が続くと、心理的距離が生まれ、夫婦の危機を招くことにつながります。

コミュニケーションの不足

コミュニケーションの不足とは、夫婦間で意見、感情、考えなどを共有できない、伝えることもないなどの状態を指します。コミュニケーション不足になると、誤解や不満が積み重なり、不信感や夫婦喧嘩の原因となることが多いです。

例えば、一方のパートナーが仕事のストレスを感じているけれど、その気持ちを相手に伝えることもないので、もう一方が「なぜあの人は不機嫌にしているのだ」と相手の状態を理解できず、不満を感じるなどのことです。また、子育ての方法や家計の管理についても、本来は話し合って解決すべきところを、そのまま放置してしまうため、最初は小さな価値観の違いだったものが、大きな不和に発展することがあります。このように、コミュニケーションが不足は夫婦の危機を生じさせ、離婚や別居の問題を引き起こします。

不信感

不信感とは、夫婦間で発生した不倫、嘘などにより信頼が崩れる状態を指します。不信感が一度生じてしまうと、相手のことを信じることができなくなり、将来の結婚生活を続けることに大きな不安が生じてしまいます。

例えば、一方のパートナーがギャンブルなどで借金をつくってそれを隠し、あとで発覚した場合、それが不信感につながります。このような状況になると「相手にお金を持たせてはいけない」などの危機意識が高まります。

不信感についての図解
このような信頼の喪失は、長期的に夫婦関係に禍根を残すことが多く、夫婦やりなおし相談室への相談事案においても10年以上に及ぶ問題として影響することが多々あります。

経済的困難

経済的困難とは、離職やギャンブルなどの借金などにより金銭的なプレッシャーが高まり、その結果として夫婦関係にストレスが生じる状態です。このような経済的な困難は、夫婦関係の質を低下させる可能性があります。例えば、夫が突如仕事を辞め、家計が急激に厳しくなるなどのケースが挙げられます。

家庭の役割と期待の相違

家庭の役割と期待と期待の相違とは、夫婦が家庭内で担当すべき役割や、それに対しての期待に不一致や不満が生じる状態のことです。家事の分担、子育ての対応、仕事とのバランスなどが不均衡になることで問題が発生します。

例えば、共働きなのに一方のパートナーの家事負担が重く、もう一方はそういった負担がないなどのことがあります。つまり、家庭内の役割に不均衡が生じています。これが中長期的に続くと、負担の重い方がやがて疲れやストレス、不満を感じる可能性が高くなります。そして、夫婦喧嘩などが度々生じるようになり、夫婦関係の危機を招きます。

期待の相違についての図解

スキンシップの問題

スキンシップの問題とは、夫婦間でのレスやふれ合いが著しく低下することを指します。このような問題があると「相手が自分に興味・関心がないのではないか」といった疑心奮起な気持ちを招くことになります。

例えば、一方のパートナーはスキンシップを強く望んでいるのに対し、もう一方は、義務的に、時には嫌々それに応じているなどのケースがあります。

このようなギャップが生じると、スキンシップを望む方は不満やフラストレーションを感じ、望まない方はプレッシャーを感じることになります。そしてこのようなスキンシップの問題は、感情的な距離や溝を生む要因となります。

義理親の過度の口出し

夫婦間の事柄や私生活に対して、義理の親が過度に干渉することは夫婦の危機に結びつきます。このようなことは、夫婦関係お互いのプライバシーと主体性を損なわせ、夫婦間で不満につながります。

例えば、義理の親が子育てに対して「ああしなさい、こうしなさい」というような指示があり、自分達の思ったように子育てができないなどのことがよくあります。しかも、パートナーが、義理親の言うことを固く守り、夫婦間で意見が割れるなどのこともあります。このような状態が続くと、夫婦間で一緒にやっていけないという思いが強くなり離婚問題などに発展します。

親に依存

一方のパートナーが親に過度に依存している場合、夫婦の危機を招きます。この依存性は、精神的、金銭的、あるいはその両方の可能性があります。

例えば、夫婦間で子育てについて相談したいのに、一方のパートナーが自分の親に相談したり、家庭内の私的な事柄をその親に真っ先に共有するなどのケースが挙げられます。これにより、もう一方のパートナーはプライバシーが侵害されていると感じたり、「自分より親を大切にするのか」と自分への優先順位が低いと感じることになります。

親の言いなりになっていることの図解
また、一方のパートナーが金銭的な援助を親に頼んでいる場合は、頼りなく感じてしまうなどのことにつながります。このような親子の依存関係が続けば、夫婦の一方が「何時までも自分達は一人前の夫婦になれない」などの思いを抱かせ、場合によっては別居や離婚問題につながります。

夫婦の危機を乗り越える方法

もし、スキンシップや親への依存などのことで夫婦の危機を招いた場合、どう乗り越えれば良いのでしょうか。その方法について代表的なものを取り上げ解説します。

参考ページ: 10 Things to Try Before Giving Up On Your Marriage

非難をやめる

夫婦間で非難のサイクルに陥ると、急激に離婚問題などが浮上します。このような非難のサイクルは、一方のパートナーがもう一方を追い詰めます。非難が続くと、本来解決すべき問題から遠ざかり、代わりに恨みや怒りが積み重なっていきやすいです。非難される方としては「相手が変わるのを待つ」という対応をすることもありますが、通常このような対応は関係改善する見込みが薄いです。

非難についての図解
根本的には、非難をやめ、代わりにポジティブな関わりを増やすことが重要です。理想的には、相手の良い点を称賛するなどの機会を増やす必要があります。しかし、最初からそのような行動をとることが難しい場合も多々あります。なので始めは感謝の気持ちを伝えるに留めたり、まずは率先して自分から非難をやめるなどの行動からとってみてください。

不満に思っていることを率直に伝える

Dr. Gottmanの研究によれば、結婚生活において69%の対立が未解決のままだと言います。つまり、不満なままの状態が積み重なっているということです。こういった不満が積み重なると夫婦の危機を招きます。そこで、これまで放置していた問題を無視したり避けたりせず、率直に思っていることを伝え解決を図るようにします。一時的に夫婦関係が緊迫した状態になるかも知れません。しかし、それでも率直に問題点を伝え、長年の不満を解消することはそれ以上に意義が大きいです。

例えば、家事の分担に不満があるなら、その不満を具体的に話し、どうバランスをとって欲しいのかといったことを夫婦で一緒に考えるなどのように進めます。

不満を伝えることについての図解

ミス・コミュニケーションを踏まえる

たとえ自分の不満を率直に伝えたとしても、相手が自分の言葉を正しく理解できるとは限りません。むしろ、たいていは誤解して理解しています。

例えば「自分は深刻な問題だと思っている」というつもりで、不満な点を伝えたとしても、相手が「大した問題ではないのではないか」と軽んじてしまうということもあります。あるいは、単純に誤解したり、こちらの真意を理解しなかったりします。

実際、シカゴ大学の心理学者Boaz Keysar氏達は、80名の学生を対象に2人ずつのペアになってもらい片方はメッセージを伝え、もう片方はそれを聞くという実験をおこないました。そして、話し手は「相手がどれくらい理解していると思うか?」ということを見積もってもらいます。すると平均72%は自分の話を理解してもらったと思っています。一方、実際に聴き手がそれを理解できたのは61%ほどに留まっています。

つまり、話し手が思っているほど、聴き手は自分の話を理解していないということです。

実験のグラフ
参考ページ: Speakers’ overestimation of their effectiveness – PubMed

このようなミス・コミュニケーションが生じるのが普通なのだと思って話しをする必要があります。「一度言えば理解ししてもらっているだろう」などと思ってはいけないと言うことです。

大事なことは繰り返し伝える必要がありますし、表現を変えたり、例をあげて繰り返し伝えるなどして、理解してもらうための努力を払う必要があります。

タイムアウトをとる

夫婦間で衝突があるときは、一気に離婚や別居を招く可能性があります。感情的になってしまうと、勢いで物事が進んでしまいます。そこでこのような場合、タイムアウトをとります。タイムアウトとは、一時的に距離を置いて冷静になるための方法です。タイムアウトを取ることで、お互いに感情を落ち着かせ、あとでより建設的な対話ができる環境を作ります。

タイムアウトの図解
例えば、夫婦間で激しい口論になった際、その場で解決を迫るとさらに状況が悪化する可能性があります。そんなときに「一旦、このことは保留にしよう」と伝え、それぞれ別の場所で過ごすことを試みます。別居までする必要がある場合はほとんどありませんが、2-3日は時間を空けることが必要なときもあります。

この期間にそれぞれが自分の気持ちや考えを整理し、何を解決すべきかを冷静に考え、話し合いを再開します。冷静になったあとで話し合いをすると、感情が介入していた先程とは違い、より理性的かつ建設的な対話ができる可能性が高くなります。

体験談『会話を変えて夫婦の危機を乗り越えた』

夫婦やりなおし相談室のご相談者様が、ブログを読んでくれている人にぜひ知って欲しいということで体験談を送ってもらいました。ここで紹介しておきます。

離婚危機の到来

私たちは結婚して7年が経過し、3歳の子供もいます。外見的には幸せそうな家庭を築いているように見えたが、最近、事態は一変しました。

先日、夫がが仕事で遅くなるといっていたので、子供と食事を済ませました。夫が帰宅したのは夜遅く、さらに疲れている様子でした。

「ご飯は食べたの?」と私が尋ねると、夫は「今日は会社の人と食事してきたから大丈夫」と答えたのです。私は少し怒りを感じた。それならそうと言っておいて欲しいし、以前、子供がまだ小さい内は早めに帰宅することを約束していたからです。それをほったらかして外で楽しんでいたので、ついカチンと来てしまいました。

「それなら、早めに連絡してくれればよかったのに」と言うと、夫は「疲れているんだから、そんなことで文句を言わないでくれ」と反発されました。

このような小さな出来事が積み重なり、次第に夫はあまり私と口を利かなくなっていきました。会話があったとしても、いつも喧嘩になります。喧嘩で疲れた最後には「このままでは離婚しかないのではないか?」と考えるようになっていたと思います。

相談室での会話

このままでは離婚か別居か?としか見えないと感じ、夫婦やりなおし相談室に相談しました。相談室の後藤さんがが丁寧に話しを聞いてくれ、特に「言葉の誤解」について説明を受けました。

そして紙とペンを使って、いかに人と人と人とのコミュニケーションには誤解や見落としなど、ミス・コミュニケーションが生まれやすいのかと言うことについて伝えてくれました。

特に「同じ言葉でも解釈は人それぞれ。もし誤解や疑問が生じたら、具体的に何を意味しているのかを率直に、そして困るに確認することが重要です」という言葉が私には印象的でした。

ミスコミュニケーションを減らす

他にもたくさん教えてもらいましたが、すぐに教わったことを実践するのは簡単ではありませんでした。

ある日は、私が「そろそろ、これからの子供のことについて考えないと」と言い出したとき、夫は「まだ子供は小さいんだから、大丈夫だ」と軽く返してきました。

その言葉に私はまたイライラしました。でもここで喧嘩になってはダメだと思い一呼吸置いてから「私が子供の将来のことを言う理由は、教育資金や進学のことも早めに計画しておきたいからなんです。それが心配なんです」と具体的に説明しなおしました。

夫も、私が相談室で習ったことを実践していることに気づいたのか、我に返り「仕事で疲れているときには、家での穏やかな時間が必要だと感じている。だから、深刻な話をするタイミングにも気を使ってほしい」と伝えてきました。

お互い「言葉の背後」にある意味や感情を確認し合い、表面的な言葉にとらわれないように努力したと思います。

危機を乗り越える

その後、数ヶ月ほど時間がかかりましたが、次第にコミュニケーションの方法が変わっていき、それに慣れてきたと思います。

しかし、ある週末に夫が、予告なしに友達と遊びに行き、その行動に私が怒りを感じました。私は一呼吸おいてから夫に伝えました。「私は急に予定を決められないと困るタイプなの。それを理解してほしい」と。

すると夫が「ごめん、急に決まったから連絡する暇がなかった。でも、今後は事前に話すように心掛ける。その代わり、僕も時々は急な予定を入れたいときがあるから、その点を理解してほしい」。

なんだか初めて喧嘩以外の方法で問題を解決できたようで、とても嬉しかったです。

今はもう離婚危機は一切なくなりました。お互い喧嘩になる度に「もう離婚」と言っていたのに、それがなくなったと思います。

夫婦の危機を乗り越えた後の注意点

実際に夫婦の危機を乗り越えた後でも、再発させないためにいくつかの注意点があります。そこでここではその注意点を取りあげ解説します。

共有時間をとる

夫婦の危機を乗り越えた後でも、極力定期的に一緒に時間を過ごすことは重要です。共に楽しむ活動を多様に試みることで、これまでの疑心暗鬼な雰囲気を払拭し、絆を深めていくことができます。共有時間をとるといっても難しく考える必要はありません。

例えば「今日一日の出来事はどうだった?」といった簡単なことをお互いで伝え合うような事で大丈夫です。相手の話しを聴くときには、共感や理解をしめし、口を挟み過ぎないように注意してください。こういった親密さは、お互いが自分の味方であると感じれるようになり、「私たちは支え合っている」という一体感を高めます。

共有時間の図解
会話をしようと思っても続かないという場合は、共通の趣味や活動を見つけて、定期的に一緒に楽しむ時間を作るなどのことでもかまいません。例えば、週末の朝に一緒にウォーキングする、ドラマを一緒に観るなどです。

焦らず行動

信頼を再構築するには、時間がかかります。一朝一夕に信頼を取り戻せるということは現実的ではありません。逆に言えば「焦って信頼関係をとり戻そう」とすると、相手がそれを感じ取り、余計にギクシャクするということがあります。焦りから一時的に極端な行動をとるのではなく、これからずっと続けていける継続的な行動をとるようにしてください。

例えば「これもやって、あれも改善する」というように、複数のことを短期間で頑張っても信頼には結びつきにくいです。また、自分も継続的にそのような努力を続けていくことが難しいので、行動をとったり、とらなかったりすることが増えてしまいます。そうなると相手から「一時的な頑張りだ」と思われて、余計信頼をなくしてしまいます。

ですので、長期的に継続できそうな行動をとるようにしてください。

まとめ

以上、今回は夫婦が危機に陥ったときの乗り越え方について解説しました。その他、夫婦問題を解決するめためのノウハウは夫婦関係修復ニュースレターで公開しています。今なら無料購読できるので、下記のフォームよりご登録ください。

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