夫婦関係を修復しようと思ったとき、「その行動はリスクが高い」というものがいくつかあります。こういったリスクがある行動は、何か特別な理由がない限り、修復のためにやってはいけません。焦ってリスクの高い行動に手を出してしまうと、致命的な被害をもたらすこともあるからです。そこで今回は、夫婦関係を修復するために「やってはいけないことのリスト」を挙げ、その理由についても解説します。
致命傷になる前に、危険な行動は控えるように注意したいと思います。
夫婦関係を修復する上で、やってはいけない事とは?
夫婦関係を修復する上で、やってはいけないことというのは、それをすることで逆効果になる方法のことです。例えば「相手のことを責める」というのは、典型的なもの1つです。通常、このようなNG行動を繰り返しとってしまうと、夫婦関係は大きく後退して、離婚危機や別居のリスクを高めることになります。
そのため、やってはいけないことを知っておくことは、修復のために欠かせない事柄と言えます。また、このようなNG行動には、いくつかの段階があります。非常にリスクが高いものもあれば、そこまで問題にならないものもあります。
修復に逆効果となる、やってはいけないことリスト
夫婦関係を修復する上で、やってはいけない行動がいくつか存在します。そこで、ここではそのリストを箇条書きで挙げるとともに、その理由も解説します。リストを確認しながら、自身の行動を振り返ってみてください。
1.愚痴の多い会話
いろいろなストレスが溜まってしまうと、ついパートナーに愚痴を漏らしてしまうということがあると思います。それがパートナーのことであったり、友人のことであったり、身内のことだったりするかもしれませんが、いずれにしても愚痴が多いというのは、それだけで夫婦関係が後退する要因になります。
事実、デューク大学Leary Mark博士達は473名の学生を対象に「退屈な会話というものはどういうものですか?」ということを尋ねると、1位としては「文句や自分の愚痴ばかりの会話」ということが挙げられています。
出典:AmericanPsychologicalAssociation
もちろん、多少の愚痴がある会話は問題ありませんが、それが会話の中心になれば、やがて夫婦間では消極的なエネルギーであふれることになります。
2.自分を責めること
「こんな自分ではだめだ」と過剰に自分のこことを責めてしまうということも避けたいところです。それをしても、役に立たないからです。
責められた自分は短期的にやる気が向上することがあっても、それは短期に終わってしまいます。中長期的には「自分が全て悪いのだ」と思い込んでしまい、夫婦関係を修復していくための行動がとれなくなっていきます。
3.相手を責めること
2とは反対に相手のことを責めるということも、夫婦関係を後退させることになります。確かに、相手の言動に対して腹立たしいと感じることもあると思います。しかし、だからといって責めたところで、相手がその責められた言葉を素直に受け取り反省することはありません。
相手のことを責めたいというのは気持ちとしては分かりますが、理屈として考えたとき、やはり夫婦関係の修復には役に立たない上、関係性を悪化させることになります。
4.結果を焦りすぎる
「早く、別居から同居に戻りたい」とか「早く相手に離婚要求を撤回してほしい」など、結果を焦りすぎることは、次第に自身の精神を追い込むことになります。
結果に執着しすぎることは、自分を見失うことにもつながっていきますので注意が必要です。
5.拒絶を恐れすぎる
夫婦関係を修復していく行動をとっていると、時に相手から拒絶されると言うことがあります。例えば「今日は、夕食の時間までには帰宅してほしい」などのように伝えても、夫婦関係が悪いときには「家の居心地が悪いから帰宅したくないのだ」のように断られることもあるかもしれません。
このように相手から拒絶されると言うことは、なかなか避けることができません。しかし、それを恐れすぎてしまうと、次第に「もうこちらからは行動しない。しばらく様子だけを見る」ということに終始してしまうことがあります。「様子を見る」と言うことが悪いわけではないのですが、ずっとそれを続けているだけでは、夫婦関係に良い変化を起こすことが難しくなってきます。
6.繰り返し離婚を撤回するよう求める
仮に夫婦間で離婚問題になっている場合、その離婚の考えを撤回するよう何度も求めてしまうことは、逆効果です。何度も離婚の考えを改めるよう相手に伝えると、離婚も出加速してしまうことにつながるので注意してください。
7.相手の悪口
夫婦関係を修復していこうと思うと、相手に対して腹立たしいと感じることも多々出てくると思います。しかし、だからといって相手の悪口を言ってしまうと、さらに自身のモチベーションが低下していきます。
そして、場合によっては相手にその悪口を聞かれてしまうということも怒ります。実際、夫婦カウンセリングの場でも、このような相談は多数寄せられます。こうなってしまうと、夫婦としての信頼度はさらに下降していくことになりますので注意しましょう。
8.不安ばかり伝えてしまう
離婚の危機などがあるとどうしても不安を伝えてしまいます。これがある程度、限られた頻度であればそこまで大きな問題にはならないことも多いです。しかし、繰り返しになるとそれが元で「悲観的な話しばかりでもう、口を利きたくない」のように相手が思ってしまう可能性も高くなります。
夫婦の一方が不安を伴うことで夫婦関係には悪影響を及ぼす可能性があります。もちろん、一時的であれば不安があっても逆にそれを相手がサポートしてくれることで親密度が高まると言うこともあります。しかし、それが継続すると相手に苦痛を与えることも。
参考:Anxiety Disorders and Intimate Relationships – PMC
9.話しを聞かない
話しをすると離婚のことを言われるからということで、相手の話しを聞かないという態度をとってしまうと状況を悪くしてしまいます。それをすれば、相手が余計「もっと離婚の話をしなければ」と思い詰めてしまうことも多いからです。どうしても、話しをしたくないというこことであれば、話しができない理由を伝えてください。例えば「体調不良で、しばらく夫婦問題については話しができない」などのように伝えます。
参考ページ: 4 Consequences of Not Listening to Your Spouse
10.話しを広げること
夫婦問題について、どんどん話しを広げてしまうということをしてしまうと、後々状況を悪くしてしまいます。例えば、妻が友人に夫の不満を伝えるということがあったとします。それがご主人に後から発覚してしまうなどのことがあると、信頼関係を大きく損なってしまい、夫婦関係の修復がより難しくなってしまいます。
「やってはいけないこと」が及ぼす、夫婦関係への影響
夫婦関係の修復は、繊細なプロセスです。そのため、やってはいけない行動をとってしまった場合の影響は大きいです。
例えば、自分の信頼を失うことであったり、相手が離婚以外の選択肢を考えられなくしてしまいます。それ以外にも、お互い相手に対しての理解不足を招き、余計コミュニケーションがとりにくくなってしまうなどのことです。「やってはいけない行動」とその影響についての対応表は次の通りです。
愚痴会話 | スローペースで夫婦関係後退 |
---|---|
自分を責める | 夫婦仲を改善する意欲の減退 |
相手を責める | 会話の減少。相手からの攻撃的態度 |
結果を焦る | 離婚要求の増加。不安増長 |
拒絶恐れ | コミュニケーションの減少。不安増長 |
繰り返し離婚を撤回 | 相手の離婚への意欲を強化 |
相手の悪口 | 批判の応酬。会話の減少 |
不安ばかり伝える | 悲観的会話の増加。自身の不安増加 |
話しを聞かない | 心理的距離が開く |
しかし、時には「やってはいけない行動」をとることがあります。そこで、これらの行動をとってしまった場合は、後述する対処をとってください。
ケース別!既にNG行動をとってしまった場合の対処
ここでは、ケース別で、既にやってはいけないことを、やってしまったという場合の対処方法についてお伝えします。
共通してやるべきこと
ケース別で対処方法をお伝えする前に、共通してやるべき事についてお伝えします。
やってはいけないことを既にしてしまっている場合、まず、マイナスの行動をやめることに取り組んでください。夫婦関係を修復するためにプラスの行動をとる以前に、まずはマイナスの行動をなくしていくということを進めるのが得策です。
例えば「いつも夫の悪口を言っていた」と言うことがあるのであれば、今後はそれを慎むようにする、などのことでかまいません。
もちろん、マイナスの行動を減らしただけで、離婚問題を解決できたり、別居の問題を解決できたりするわけではありません。しかし、マイナスの行動を続けていたら、離婚に向けてどんどん勢いがついてしまいますよね。なので、最初はそれを止めることから始めていきましょう。
離婚危機になっている場合の対処
修復のためにやってはいけない行動をとってしまい、既に離婚危機が高まっているということもあるかもしれません。そのような場合、どうすれば良いのでしょうか。
この場合、上述した「マイナスの行動を止める」ことに加え、さらに別の行動もとっていく必要があると思います。例えば、離婚問題について相手と話し合う必要があるかもしれません。あるいは、離婚問題になった経緯として、自分に非があるのであれば謝罪も必要かもしれません。
具体的に何が必要かはケースバイケースですが、離婚危機を回避するための行動も加えていくようにしましょう。
参考ページ: 離婚を回避する方法について解説。7つの効果的な方法とは?
仮面夫婦になっている場合の対処
夫婦関係を良くしようと思ってはいるものの「やってはいけないこと」をしてしまい、現在、仮面夫婦のような状態になっているということがあるかもしれません。そのような場合、どう対処すれば良いのでしょうか。
仮面夫婦の状態と言っても、人それぞれですが、例えば「口を利いてくれない」というような状態になっているのであれば、早めに謝罪をする事を考えていきましょう。この段階であれば、何度かの謝罪をして、やってはいけないことを繰り返さないようにすることで、状況を回復させられる見込みもあります。
別居になっている場合の対処
離婚にまではなっていないけれど、既に別居になってしまったという場合、修復には少し時間がかかるということは理解しておいてもらった方が良いと思います。ただ、別居になったから夫婦関係の修復は不可能という意味ではないので注意してください。あくまでも時間が同居している場合よりもかかりやすいと言うことです。
具体的な対応はケースバイケースですが、Lineでも良いので、早めに謝罪メッセージは伝えておきましょう。送れれば遅れるほど、基本的には印象が悪くなってしまうからです。
参考ページ: 別居解消に役立つ5つの方法
まとめ
ここまで夫婦関係を修復するために、やってはいけないことを解説してきました。さらに具体的なノウハウについて下記のニュースレターで解説しています。無料登録できる今のうちに、下記のフォームから手続きをとっておいてください。
よくあるご質問
ここでは『夫婦関係を修復するためにやってはいけないことリストとその理由』について、よくある質問をQ&A形式でお答えしていきます。
夫婦喧嘩で相手を非難
【Question】
夫婦喧嘩が始まると、お互い感情的になってしまいます。そして、夫のことを非難してしまいす。夫も私のことを非難してきますが、私の方が口が達者なので夫は何も言えなくなります。このようなことはやめた方が良いですよね?
【Answer】
もちろんやめた方が良いです。そのような形で喧嘩になってしまうと、お互い疲弊してしまいやすくなるので離婚に向けて加速することになります。そのため、今後は非難に終始しないことに注意してください。非難をを続けてしまうと、夫婦関係が大幅に後退していきます。また、非難をしても相手がそれで変わるという可能性は低いものです。
非難をいすれば、いくらか気持ちがスッキリするという面はあるかもしれません。しかし、非難は夫婦関係を傷つけてしまい、自分の行動に対しての責任を放棄していることを意味します。どうしても怒りがこらえられない場合は、一旦話しを保留にし落ち着いた段階で話しを再開するなどのことが必要です。
参考:Why We Need to Stop Playing the Blame Game
相手のことを脅してしまう
【Question】
つい夫に「別居するのなら、もう子供にも会わせない」などのように脅してしまうようなメッセージを伝えてしまいます。それでなんとか別居を食い止めてはいるのですが、これは良くないですよね?
【Answer】
結果として相手のことを脅すような形になってしまうことは、控えてもらった方が良いです。それだと、表面的に相手が言うことを聞いてくれるかもしれませんが、それは一時的で、次第に相手が自分に対して恨みを持つようになっていきます。いずれ「自分は我慢ばかりさせられてきた」などのことを言われて、離婚問題に発展する可能性があります。
支配的になってしまい相手をコントロールしようとしてしまうことがあります。このような場合、たいていは威圧的な態度を使ってしまいます。このような場合、相手から距離をとられることもあるので注意してください。コントロールしようとする方法としては、威圧的な態度以外にも批判、罪悪感を相手に感じさせる、イライラするなどの方法などがあります。
参考:15 Signs of Controlling Behavior
夫婦関係を修復するための別居
【Question】
夫婦関係を修復させるために別居しようかと考えています。ですが、別居したらもう同居に戻せないのではないか?とも不安です。別居する事には効果があるでしょうか。
【Answer】
「とにかく別居さえすれば修復できる」ということにはならないので注意してください。もちろん、別居する事によってそれがプラスに働くケースというのもあります。(詳細は音声でどうぞ)
関連記事
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修復は手遅れ?
夫婦関係を修復していこうと思っても「既に手遅れではないか」と思ってしまうことがあるのではないでしょうか。しかし、諦める必要はありません。できることは必ず見つかりますので、まずは下記の記事を確認してみてください。
参考ページ:もう手遅れ?夫婦関係の修復に遅すぎることはない
上手くいかない理由
一生懸命、夫婦関係の修復に取り組んでいるのに、どうして上手くいかないのだろうか。もしそう思ったら下記の記事を確認してみてください。
参考ページ:夫婦関係の修復が上手くいかない!それはやり方が間違ってるからです
修復のためのマインド
どんな方法を用いるかということも大切ですが、大前提として心構えがしっかりできていることが大切です。マインドがずれていると、いくら正しい方法を実践しても効果が一時的で終わってしまいます。そのことについて下記に詳しく解説しています。
参考ページ:夫婦関係を修復するための心構え。どんなマインドで臨めば良いの?
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夫婦関係が改善していくキッカケは何だろうか?と思ったことはありませんか。そこで、修復のキッカケについて下記で詳しく解説していきます。
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参考ページ:夫婦を続ける自信がない!そう思ったときの対処法
夫婦関係修復の話し合い
夫婦関係を修復しようと思ったとき、話し合いに取り組むことも多いと思います。そこで、話し合いでの説得力を上げる方法について解説します。詳細は下記よりどうぞ。
参考ページ:夫婦の話し合いで、説得力を上げる方法!意見をどう伝える?
話し合いで緊張
夫婦問題について話し合いをしようと思っているけれど、怖じ気づいて勇気が出ないことがあります。緊張することもあると思います。そこで、話し合いでの緊張にどう対応すれば良いのかを下記で解説します。